今後IPOはより遅くなるのか


IPOしないユニコーン企業が徐々に増えている。
タイミングが遅くなったと言われるIPOはさらに遅くなるのか。

増えるユニコーン企業

ユニコーン企業という言葉はすでに市民権を得ているが、それは同時に10億ドルというバリエーションがつきながらIPOを行わない企業が増えているということにもなる。逆説的に考えてなぜIPOをするスタートアップは減ったのだろうか、IPOのタイミングは遅くなったのだろうか。

その1つの理由には、VC(ベンチャーキャピタル)の発達があるだろう。今まではIPOをしなくては大きな資金を得ることができなかったからスタートアップはIPOを行っていたわけであるが、それ自体がVCからの資金調達によって可能になったことでIPOが遅くなっているということが考えられる。

IPOを引き延ばす理由

スタートアップはIPOを引き延ばそうとしている。それが現れているのがAirbnbであろう。Airbnbは2016年7月28日付けで新たに8億5000万ドルを調達し、評価額は300億ドルとなった。1年前にはAirbnbは15億ドルを調達しており、トータルでAirbnbの調達した金額は30億ドルほどになる。このAirbnbはデットファイナンスを行うなど、株式の希薄化を嫌う動きが見られる。

2016年6月には10億ドルをデットファイナンス(借り入れなど負債による調達)で調達した。デットファイナンスでは調達によって株式の割合は変わらない(その代わり、負債は返さなくてはいけない)ことから、創業者のそして比較的早いステージで出資を行ったVCの取り分は大きい。もちろん、デットファイナンスはそれ相応のリスクがあるため、一概には言えないが、特に事業が安定的に成長している企業ほどデットファイナンスを好む。

資金調達の方法に変化が

Airbnbが非上場でもデットファイナンスを10億ドルという規模で行うことができたのは1つの朗報だろう。そのことで、IPOの必要性というのは徐々に減ってくる。資金調達の方法が増えていることはスタートアップにとってはIPO以外にも選択肢が増えている。

そしてIPOが減った理由としては、VCが欲を出すようになったということが言えるのではないだろうか。スタートアップの成長スピードは極めて上がっている。従来のスタートアップを超えるスピードで伸び続ける以上、早い段階でIPOを行わせ株式の売却を行うよりも、もっと伸びるまで待つという選択をとるようになったように思える。
そしてそうなったのはGoogleやFacebookなど巨大企業にわずか15年前後で上り詰めた先駆者の影響があるだろう。