1日80億回視聴のSnapchatが導く動画の未来


SnapchatはFacebookを超える動画メディアへと成長している。
80億回という世界一の数字は動画という文化の未来を予期しているのかもしれない。

動画視聴数が1日80億回を超えるSnapchat

Snapchatと言えばまだそう聞き覚えのない言葉であろう。全米のティーンが熱狂すると言われるSnapchat上では、1日80億回の動画が視聴されている。この数字は、世界最大のSNSであるFacebookを超える数字である。(ただ、Snapchatは再生が始まった瞬間、Facebookは3秒以上視聴した瞬間に1回と数えており、それを考慮した上でFacebookを超えているかは定かではない。)

1日の視聴数が80億回というはてしないボリュームまで成長したSnapchatはたった5年ほど前にスタートしたアプリである。今では徐々に日本にもその波がきているが、まだ成長途上であることは間違いがないだろう。Facebookを上回るパフォーマンスを出していることから、動画という文化はまた今までとは違うルールによって進んでいるだろう。

動画文化の到来

実は、早くから動画コンテンツの時代の到来は予想されていた。テキストよりも情報量が多いのだから当たり前の話だ。FacebookにGoogleというWebの巨人はそうした動画の時代に備えて様々な働きかけをしてきた。Facebookのタイムライン上で動画が再生されるようにしたこと、それをTwitterが追ったことなどは記憶に新しい。とはいえ、実は動画というのは彼らが期待したほど普及していない。それを示すように動画を主体とするメディアはまだほとんどない。

それには、スマートフォンでの回線の速度が動画に対応するレベルではないということや、動画というフォーマット自体がスマホで隙間時間に見るものに対してあまり合っていない(動画は時間が決まっており、テキストのように自分の都合のいいスピードで見ることができない)こともあるだろう。

そういった理由からから、来る来ると言われていた動画の時代はまだ来ていない。スマホを見ると言えば、テキストや画像のコンテンツがほとんどだろう。その証拠に今のスタートアップは動画には力を入れず、キュレーションメディアに対して注力するケースの方がよっぽど多い。

Snapchatが作った動画文化

Snapchatでは、他のSNSでは見られない特有の文化がある。それはユーザーが動画を送りあうということだ。LINEでもFacebookでもワッツアップでもそうしたことはほとんど見られないだろう。なぜ、Snapchatではそうした特有のユーザーの行動があるのだろうか。

それは、Snapchatの相手方からは‟見たら消える”という機能が影響しているだろう。見たらどうせ消えるのだからくだらない動画でも恥ずかしい動画でも送ることができる。Snapchatはそうしたいい意味での‟軽さ”がウケている。見る側からしても、どうせ1回しか見れないし見る必要がないのだからなんとなしに見ることができるだろう。動画の持つ(情報量的に)重たいという特徴を見たら消えるという機能がカバーしている。

Snapchatの機能であるDiscoverでは、数多くの動画が見られている。それは24時間で消えてしまうなど、YouTubeなどの動画サービスとは全く違う趣のものである。その日のみしか見れないともなればまたユーザーの反応は違ってくるだろう。簡単にコピー&ペーストができるテキストとは違って動画はそれが容易ではないし、情報としてそのまま受け取るテキストに対してそのものの雰囲気や臨場感を重視する動画は新鮮味が大事になってくる。それはスピードを自分で調整できないことからも明らかだ。テキストは2回目からはすぐに読めるが、動画は同じ時間の使い方をしなくてはいけない。

Snapchatの作った一定の時間で消えるという文化は動画コンテンツのカギになるだろう。