ニューヨークがスタートアップの聖地になりつつある。
はたしてなぜニューヨークは起業都市としての頭角を現したのか。
ニューヨークの変貌
シリコンバレーだけがアメリカのスタートアップの聖地ではない。
ブルームバーグ前市長のハイテク都市構想が起業ブームを後押し、世界第2のスタートアップ都市になったのがニューヨークである。ニューヨークは、Googleが都市開発に乗り出すなどハイテク技術に対する意気込みのうかがえる都市であるが、なぜニューヨークはスタートアップの聖地になり得たか。
ニューヨーク市は、資金調達の実績やテクノロジー系の人材の質、国際市場への参入などの観点から算出した世界のスタートアップエコシステムトップ20のうち、シリコンバレーに次ぐ2位にいる。ニューヨーク市内で約7100~9600のテック系スタートアップがあり、市場参入度では1位だ。
その理由はエコシステムにあり
10年前はニューヨークの教育機関で学んでもシリコンバレーに移るエンジニアリング系やクリエイティブ系の人材が多かったものの、今ではそうした人材の引き留めに成功している。創業して間もない企業を育成するインキュベーターやコワーキングスペースに加え、新人起業家を支援する起業経験者も増加していることもそれを後押ししている。
シリコンバレーがIT系のスタートアップが多いのに対して、金融にヘルスケア、そして広告などがニューヨークには多い。
アメリカの都市事情が生んだスタートアップ
日本ではおおよそ全てが東京に集中しているが、アメリカは違う。金融はニューヨークだし、政治はワシントンだし、エンターテイメントはロサンゼルスだ。こうした棲み分けがあるからこそ、その中で多くの大企業が拠点を構えるニューヨークにはスタートアップが成立しやすいのだろう。特に広告や人材などのサービス業はシリコンバレーではなかなか手を出しにくい部分かもしれない。ニューヨークに点在する顧客にアクションを起こすのにはニューヨークでスタートアップするのが最適だ。
シリコンバレーがギークと呼ばれるパソコンオタクのスタートアップの聖地なのに対し、ニューヨークはスーツをきっちり着たエリートたちのスタートアップの聖地なのかもしれない。今後は新たな形のスタートアップも生まれるだろう。