2016年のIPO数は7年ぶりの減少となった。
昨年2015年はバブルとも言えるほどに上場が相次いだものの、今年1年は市場自体が安定しなかったことや、過去の上場ゴール案件の影響で審査が厳しくなったことも要因と言えそうだ。
2016年のIPO数が減少
2016年、国内でのIPO(新規上場)企業数がリーマンショック後の2009年以来7年ぶりに減少に転じた。現時点では、前年より12社少ない86社となる見込みとなっており、ITバブルと呼ばれたスタートアップ景気は一時休止ということだろうか。
5日連続の日経平均株価下落など年初の株価急落や6月のイギリスのEU離脱決定などで日本の株式市場が荒れたこと、取引所や証券会社による上場審査が厳しくなったことが背景にあるようである。
国内で2016年に新規上場する企業数は86社で、東証が84社(うち東証1部と2部で13社、マザーズが54社、ジャスダックが14社)、名古屋証券取引所が2社となっている。
市場の荒れた1年
86社という数字は2015年を下回っているものの、2014年の80社を上回っている。過去の水準から比べれば比較的ベンチャー企業に対しては追い風が続くのではないかと思われる。
2016年の株式市場は大きく荒れることが多かった。中国経済の崩壊や原油価格の暴落など世界経済の波乱に巻き込まれて株価が大きく変動することが多く、新規上場に向いた相場ではなかった。その中で80社というのは長い目で見た場合ベンチャー企業の実力が上がってきている可能性がある。
gumiショックの影響は大きく
しかし、1つ懸念点があるとすれば東京証券取引所における上場審査が厳しくなったことである。新規上場企業において不適切会計や取引の発覚、上場直後の赤字転落などいささか投資家にとって裏切られたような事例が少なくはなかった。そうしたこともあって、上場の基準は厳しくなっている。
代表的な例がgumiであり、上場したはいいもののそこから業績は急激に悪化するなど、上場ゴールの最たる例として知られている。
ソーシャルゲーム企業ということもあって経営における予測をすることが非常に難しい。ベンチャー企業では同様のことが起こる可能性は十分にあるだろう。結果として上場ゴールが生まれてしまうのは防ぐのが難しいと考えられる。
ベンチャー企業の実力は右肩上がり
今年2016年は比較的市場も荒れ、難しい1年だったように思えるそれでも2014年は上回る86社ということで、ベンチャー企業のエコシステムが形成されつつあることの証左であると言えるのではないだろうか。
数年の中で限りなくベンチャー企業の数は増え、その力も増している。学生起業の数もかなり増えていると言えるのではないだろうか。今後に期待が持てそうな1年であった。