amazonがスタートアップ支援で見据える未来


amazonは地球上全てのものを売ろうとしている。
スタートアップの製品を売る『Amazon Launchpad』は非常に注目を集めており、いまだ日本ではサービスはリリースされていないが、スタートアップの製品販売がamazonの仕組みを利用することによってはるかに容易になる。

『Amazon Launchpad』に注目

amazonが2015年7月に開始したスタートアップ企業の製品を取り扱う『Amazon Launchpad』は、アメリカ、イギリス、ドイツ、中国、フランスそして2016年12月にはインドでも開始した。2週間で400社以上のスタートアップから申し込みがあるなど、大きな注目の的となっている。

『Amazon Launchpad』は、スタートアップ企業の製品を販売するサイトで、スタートアップによる独自の、まだ世に存在していないような商品も含めて販売されている。ユーザーは他のECではとうてい買えないようなユニークな商品を目にすることができる。

スタートアップの販路を拡大するamazon

amazonがクラウドファンディングのKickstarterと提携

本誌でも紹介したように、Launchpadではクラウドファンディング大手KickStarterと提携を行っており、まだ世に出ていない構想段階の商品を購入する(クラウドファンディングの要領で支援を行い、完成したら支援額に応じて製品が受け取れる)こともできるようになっている。

Launchpad自体はスタートアップの製品に特化したマーケットプレイスである。
Kickstarter以外にもクラウドファンディングのIndiegogo、ベンチャーキャピタルのY Combinatorをはじめとする100以上の組織と提携することでスタートアップの商品の販売を支援する形になっている。

Amazon Launchpadをスタートアップ企業が利用する最大のメリットは、商品の開発・製造以外の流通・販売をはじめとした全ての業務から解放されることである。amazonの販路によって商品の販売、そして多くのユーザーに対して商品を訴求することができる。入金などの心配もない。amazonの審査を通れば、購入サイトを用意することができ、受注管理や出荷作業といった部分もamazonのデータベースを利用できる。

『Amazon Launchpad』顧客側のメリット

一方、顧客にとってはスタートアップの個性的な商品をamazonの仕組みの中で購入することができる。料金を払ったにもかかわらず商品が届かないということもないし、発送もamazonの仕組みならば安心して行われる。決済なども今までと同様に行うことができる。

amazonの多くの強みは物流を握っていることにあり、商品の発送もスタートアップ側がamazonに任せれば早ければ次の日にも届くことがある。こうした部分については世界でも圧倒的に優れているのがamazonだろう。

AWSにFBAというamazonの強み

amazonが外部の小売業者に代わって商品の保管と配送業務などを行う『FBA(Fulfillment by Amazon)』の取り扱いは倍々ゲームで増えており、FBAを利用する業者は、日本を含む世界130ヶ国以上、そしてその発送先は世界185ヶ国となっている。

AWS(Amazon Web Services)は、自社の膨大なサーバーシステムを他社に貸すところから始まって今や世界最大のものになっているが、FBAについても同様に自社の倉庫、発送業務を貸し出す仕組みになっている。世界のほぼ全ての商品がamazonから発送されるようになるかもしれない。

amazonは今後自動運転車やドローンなどで発送を行うだろう。すでに倉庫内では、Kivaにより人手を必要としない業務に切り替わっている。そうした意味ではamazonが確実にトッププレイヤーであるだろう。