amazonも参入 ポップアップストアの流行のわけ


今、ポップアップストアが大きな流行を見せている。
amazonも参入したこの市場はなぜ今になって評価されているのか。

amazonがポップアップストアを出店

amazonは今後1年の間に、全米のショッピングモールへポップアップストアを数十店オープンするとしている。ポップアップストアとは空き店舗などに突然出店し(ポップアップ)、一定期間で突然消えてしまう短期間限定の仮店舗のこと。ショッピングモールや駅構内など人の流れの多い場所に出店し、キャンペーンを行うケースが多い。

これらの実店舗は、人工知能スピーカーの『Echo(エコー)』など、同社のプロダクトをアピールする場として活用されるという。amazonは世界最大のECなわけであるが、ではそのamazonがなぜ実の店舗を出すのだろうか。彼らはインターネット上で商売をすることが仕事なはずだ。

なぜポップアップストアを出店するのか

近年、ECがポップアップストアを出すケースが多い。amazonなどのECにとっては当然インターネット上で買い物を行う方が効率がいいし、消費者は安く手間も少なく購入でき、なおかつ家にいても届く。ではなぜ、ポップアップストアを出すのだろうか。

amazonがポップアップストアを出す理由は2つだ。1つは、ユーザーの体験を生むため。ECや製品自体のブランドイメージなどのためには実際にその目で製品を見て、触るということができた方がユーザーにとって大きな経験になる。この体験を生み出すためにはインターネット上ではなく実店舗が適している。
1つの事例として、アメリカ大手金融企業キャピタルワンがニューヨークに開設したポップアップ”カフェ”がある。このカフェは同社の業務とはほぼ無関係だが、銀行が気軽にいけてのんびり過ごせる場所であるというイメージをもたらした。

もう1つは、amazon自体を知らない、もしくは利用したことのない人に対して利用するきっかけを与えることだ。例えば、高齢者は使いたいともし思ったとしてもamazonのユーザー登録だけで大変だろう。その場合、ポップアップストアで登録の仕方を教えてもらえばそのきっかけになるかもしれない。また、同社のEchoは画期的な製品であるが、人工知能を搭載したスピーカーという概念が定着していないため簡単に買うのは気が引ける。しかし、一度それを利用してみれば気持ちが変わるかもしれない。

今後さらに増えるポップアップストア

EC事業者および小売事業者の間でポップアップストアが流行している。ポップアップストアの業界規模は約5兆円になっている。インターネット上では得られないより豊かな体験を届けることと、インターネット上では出会えない新たなユーザーとの接点を持つ上でポップアップストアは非常に有効だ。

amazonが取り組み始めたことで今後さらに増えるだろう。