新卒社員が会社を辞める3つの理由


ゆとり世代という言葉は完全に定着し、
近年の若者が~という批判の格好の理由づけになっているが、若者が仕事をやめる理由に向き合うのも大事なのではないだろうか。

新卒社員がすぐに辞めてしまう

『新卒で入った社員がすぐに辞めてしまう』

これはよく聞く悩みだ。おそらくほとんどの企業でこうした悩みを抱えているのだろう。
現在、厚生労働省発表のデータでは、3分の1ほどの新卒で入社した社員が3年以内に退職するというデータが出ている。この数字は一目見ても”多すぎる”という印象を誰もが抱くし、実際多すぎるだろう。
もちろん、前向きな意味での退職も考えられる(独立したいとか、上位の会社に引き抜かれたとか)。ただ、その多くは『こんな会社に入らなければ…』というようなマイナスの理由で退職していることだろう。

実は離職率は増えていない

rishokuritsu
出典 http://www.mhlw.go.jp/

上記は厚生労働省のHPから拝借した大卒での新入社員の3年以内までの離職率ではあるが、近年増えているかというと、そうでもないということが分かる。
『最近の若者は』と社会人は言いたがるが、平成12年~17年がもっとも数字が悪いというデータが出ている。現在はそのころに比べると多少改善されているというデータが存在するのだ。

よく言われるゆとり世代の入社は大卒の場合は、平成22年~31年にあたるから、平成21年から比べると増加はあるものの、最悪であった平成12~17年ほど悪い数字ではない。

では、新入社員がやめてしまう理由を3つ挙げてみる。

1、厳しさに慣れていない

新入社員はそれまで働くという経験をせずに社会へ出る。(バイトも1つの働く経験にあたるが、比べ物にはならない)そして実際に働く際でのギャップがあるのは事実であろう。
いきなり働くという厳しい経験をするわけだ。

当然ながらそれまで親が養ってくれて、高校、大学とお客さんにあたる(もちろん教育機関ではあるが、お金を払ってサービスを受けることには違いない)ことから厳しい経験をすることは滅多にない。子供の頃に厳しい経験をしていた方が人生とはそういうものであるのだという気付きを得ることができる。それに対して、22年間ぬるま湯で育ってしまうとそれに完全に慣れきってしまう。自我の形成されきった年齢からそうしたギャップを受け入れるのは難しいだろう。

2、辞めても困らない

時代のせいもあるのだろう。今の時代、家賃5万円の家に住み、食費は月に3万円、ケータイ代や光熱費などで2万円。
生活しようと思えば月に10万円でも生活ができる。ここから少し欲しいものを買ったり外食したりしても15万円あれば足りる計算だ。これならフリーターとしてでも十分に稼ぐことが出来る。

今まで娯楽というのは、そうそうお金をかけなければなかった。みんな恋人を作るのに躍起になっていたし、外に出るのには必ずお金がかかる。ところが、今の時代ではネットサーフィンなどに費やす時間が増えた。ソ-シャルゲームなどでタダでいくらでも遊べる娯楽はあるし、コミュニティもネット上に作ることが出来る。家から出なくたって友達もできるのだ。

結婚などへの意欲がなくなったのも1つの理由だろう。ずっと1人で生きるのならお金はそういらないし、正社員である必要性はあまり感じられない。

3、仕事が面白くない

いつの時代でも変わることではないと思うが、面白くて充実感のある仕事ならば人はやめない。一流企業の中で驚異的な残業時間を誇る企業でも離職率の低い企業が多く存在するのはその理由の1つだ。
『少しきついからってやめやがって…』と語る企業はその言葉は、”少しきついだけでやるに値しないレベルのつまらない仕事である”可能性も孕んでいることに目を向けた方がいい。

若者は仕事をしなくたって生きていける。お金をかけずに娯楽を楽しむことが出来る。そういった点では特に団塊の世代など働き盛りの世代には持っていない価値観を持っているということに他ならない。
”頑張って働くことで得る楽しさや充実感”を”フリーターとして気楽に生きる楽しさ”が上回った結果の退職である可能性は大いに考えられる。

いつだって大人はそう言う

『近頃の若者は~』という言葉は実はいつの時代も聞かれる言葉である。
決してゆとり世代のみに向けられた言葉ではない。いつの時代でも世代間の理解はなされないままである。

お互いが歩み寄らない限り、こうした日本の悪はいつまでもなくならず、効率の悪い働き方というのが続くのではないだろか。