LINEを日本中に広めた驚異の逆張り戦略とは


現在日本においてLINEというサービスを利用しない人間のほうが少ない。
それほどまでに普及したLINEを広めた逆張り戦略とははたしてどんなものであるのだろうか。

日本中に普及したLINE

LINEというメッセンジャーアプリを知らない人はおそらく二本にはそういないだろう。スマートフォン使用者のうち66%がLINEを使用しているという。ダウンロードしたというだけでなく、使用しているのだから驚きだ。多くのアプリがCMなどによってダウンロードを獲得するものの、ユーザーはすぐに飽きてアプリを使用することはなくなる。多くのアプリ開発者がそうした実態に苦しんでいる中、LINEについては月間のアクティブ率は90%を優に超える。

おそらく、LINEよりも使われているアプリは日本にはないだろう。メッセンジャーアプリという特性上非常に多くの人に利用される。そんなメッセンジャーアプリは基本的にひとつの国でひとつしか普及することはない。そうでないと連絡の方法が多岐にわたって面倒だし、生き残りをかけた競争は非常に激しいといえるだろう。事実、DeNAのローンチしたサービスであるCOMMはCM戦略の結果が実らずに2015年にサービスを終了した。カカオトークは勧告では普及しているものの日本には定着しなかった。そう、こと日本においてはLINEが一人勝ちしたのである。

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出典 http://matome.naver.jp/

LINEはプラットフォームである

LINEが外部メディアにプラットホームを開放

最近ではLINEは12月1日に外部メディアに向けてニュース配信をするプラットフォームを発表した。当然ながらLINEの行うサービスはメッセンジャーアプリのみに留まらず、LINEプラットフォームが出来上がっている。LINEを通してゲームもできるし音楽も聴けるし、タクシーを配車したり、デリバリーを頼んだりとさまざまなことができるようになっている。人々の身近にLINEというものがさまざまな形で入り込んでこようとしているのだろう。そしてそれは着実に進んでいる。

ビジネスの常識を変えるEcosystemという新たな概念

森川元社長の後を継いで社長に就任した出澤社長はEcosystemとLINEの提供するプラットフォームを称している。まるで生態系のように、LINEがおりなすEcosystemがユーザーの生活に普及し、コミュニケーションという方法を通じてLINEは様々な価値をユーザーの提供するのだという。これがLINEの行う事業である。

LINEはいかに普及したか

そんなLINEに関する興味深い記事がある。LINEの取締役、LINE MUSICの代表取締役を務める舛田淳氏が語った『LINEを普及させた方法』である。その当時、LINEができる前、NHN Japan株式会社であった当時、スマートフォンというデバイスに対してサービスをフォーカスする、つまりこれからのモバイルシフトを積極的に行っていくことが同社では決まっていたという。そんなときに舛田氏がNo.1をとるためにすべき施策として”逆張り”というものを掲げたのだという。

PCからスマホに時代が移るにあたってユーザーは確実に増える、今まで機械に詳しくなかったような層が今後はスマホのユーザーとして出現すると舛田氏は考えた。その中で当初決まっていた『スマホシフトでコミュニケーションのサービスを提供し、世界一になる』という目標について、確実にメインユーザーは女性になるという読みがあったという。今まではPCユーザーが主体でそのサービスを積極的に利用するのはギーク(機械オタク)
なのであったが、今後は女性ユーザーが積極的にサービスを使い、サービスを広めるという着想があった。

LINEを生んだ逆張り理論とは

この逆張り理論というのは光があれば影がある。つまり、何か新しいものができればそれを利用するその一方で不便になることが生まれるということに基づいている。当時、Facebookが盛んであったがそうしたSNSがオープンであるということは、その一方でそうした開放的なものとは逆にクローズドなコミュニケーションを人は求めるようになる。これが光あるところに影があるということだ。だからLINEは電話帳とのみ同期し、Facebookのように共通の知人から知り合いを探ったりなどというような開けた行動ができないようにした。そもそも電話帳に入れているというクローズドな中にのみ対象を絞ったのである。

もちろん、スタンプを取り入れたりLINEが普及したのには非常に大きな要因がほかにも存在したのは間違いないだろう、ただ、LINEそのものの着想となっているのはこの”逆張り理論”である。世の中が便利になるにつれてどこかで必ずその反動となる不便が生じる。LINEの場合はオープンコミュニティに対する怖さを感じるようなユーザーに対してクローズドなコミュニケーションを提供した。今後も同様の戦略でLINEは新たなサービスを生み出すだろう。