Magic Leapと言えば知る人ぞ知る企業である。
そこでは、ARを中心としたテクノロジーが開発されている。そして彼らの目指す未来ではなんとディスプレイはなくなるという。
Magic Leap、驚愕のムービーを公開
Magic Leapは製品をリリースせず、もちろん売り上げはゼロおろか、事業内容もほとんど公開していない段階でGoogleをはじめとする超一流のテック企業やベンチャーキャピタルから約590億円の資金を調達し、2016年2月にはアリババからIT企業史上最大規模の約864億円を調達している。
まさに謎に包まれたハイテク企業といったところであるが、そのMagic Leapが開発中の技術および製品に関するムービーを公開し、彼らの行っているものの全貌が明らかになってきた。
Magic Leapの生み出した驚愕の光景
デスクの上にスマートフォンの画面のようなディスプレイが浮いている。まるで急にディスプレイが現れたかのようである。
次は右側にウィンドウが3つ映し出されている。それぞれをカードをシャッフルするように動かすこともできるようだ。動きはスマートフォンでブラウザを開いてどのウィンドウを一覧するページのような直感的な操作に近い。
突然きた通知とともに、エベレストの登頂データおよび、エベレストの立体地図が現れる。1つ1つ順を追って現れていくために見ていて楽しい。さらにはエベレストの登頂ルートが示されている。
欲しかった靴が入荷したようで、3Dモデルを表示してくれている。現実世界に浮き上がった商品の3Dモデルはまるでその場にそれが存在するかのようだ。
最後には、クラゲが浮き上がった。このように幻想的な世界をも見せてくれる。美しい景色や満天の星空を表現することも可能だろう。
驚くべきことは、このムービーは一切CGを使っておらず、現実のものであるということ。現実の世界にこのようなディスプレイが浮き上がったり、3Dのデータが浮き上がったりする。物理的なディスプレイはもちろん一切不要だ。
ディスプレイすらなくなる未来
今現在Magic Leapが開発しているのはVR(仮想現実)ではなく、AR(拡張現実)でもない『MR(複合現実)』と呼ばれるもの。視野に創り出された空間を表現するVRとも、現実世界にCGのような情報を付加されるARともMRは違う。現実世界と仮想世界の情報を組み合わせ、2つの世界を融合させた空間を構築する技術のことであり、ARを現実空間に溶け込ませ、全体を現実世界を基盤としたVRとするような技術と言えるだろう。
これが実用化、および低価格化すればディスプレイという概念はもはやいらなくなるかもしれない。それと同時に、今現在ハードの抱えるディスプレイの物理的大きさによる制約といった問題をクリアできることになる。
MRはまさしく破壊的イノベーション
『イノベーションのDNA』の中で、著者はイノベーションは持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2種類存在すると語っている。今までの商品や業界をそのまま改良していくのが持続的イノベーションで、それをぶち壊すような全く新しい概念で代替するのが破壊的イノベーションだ。破壊的イノベーションの例としては、アマゾンやAirbnb、Uberなど挙げればキリがない。
今現在、アップルなどの世界的企業をはじめとして様々なデバイスを開発している企業はウェアラブルデバイスやより薄いスマートフォンなどを目指している。そこで問題になるのは小型化すればするほどに物理的なディスプレイが小さくなるということだ。このバランスをとることが必要になる。
ところが、この持続的なイノベーションを一気に破壊するのがMRというイノベーションである。例えば、時計型端末からディスプレイが浮き出るようにすれば今までの問題は全てクリアしてしまう。そのうちパソコンすらいらず、時計くらいの大きさのデバイス1つで全てが済むようになるかもしれない。
間違いなく言えることは、Magic Leapやこの技術は世界を変えるだろうということだ。