ロボットカーはどんな未来を創るのか


『ロボットカー』という言葉を聞いたことがあるだろうか。
文字通りロボットが運転する車ではあるが、この自動運転車とも呼ばれる次世代の技術ははたしてどんな未来を生み出すのだろうか。

人間が運転するのは時代遅れ!?

いちはやく着手したのはGoogleだろうか。当時絵に描いた餅だと思われていたロボットカーが実用化へのカウントダウンを切った。すでにGoogleのロボットカーは公道でのテスト走行を行っている。グーグルの自動運転車がスピード違反を受けたニュースなど未だ実用化へは完璧ではないものの、そうした細かな問題をクリアしていけば公道を走れるようになるだろう。(実際スピード違反のニュースはスピードの出しすぎではなくあまりに遅いスピードで走行していたために起こった。)

ロボットカーの安全性が確保されれば、人間が運転するのは危険であるくらいに捉えられるだろう。現実問題として今起こっている自動車の事故のうちの多くが人間のミスによるものだ。人間が機械よりも正確なことなんてあるはずがない。公道から人間の運転する車が消えることはおそらくないだろうからロボットカーは当然のごとく人間の予測でない行動やミスに対して対応していかなくてはならずそういった点も技術的には求められるが、今後ロボットカーは増えるだろう。

ロボットカーに真っ向から反対するトヨタ

Googleはじめ、Appleや日本ではDeNAなどの名だたる企業が推し進めるロボットカ-ではあるが必ずしも全てがロボットカーの賛同者でありこの流れを歓迎しているわけではない。ロボットカーに関わらない企業も多く、その中でも最大手なのがトヨタである。『FUN TO DRIVE, AGAIN.』をスローガンに掲げるトヨタは運転することを楽しもうというメッセージを送っており、自動走行とは全く逆の視点を持っている。

このトヨタの考え方に限らず、多くの車ファンはおそらく運転することを楽しみ、そのために車を購入する。多くの自動車メーカー、特に高級車を展開するメーカーの顧客は運転することが楽しくて自動車を購入する。単純に移動のためのツールとして自動車は存在してないことは明白だ。そうしたニーズも存在する以上ロボットカーはもしかしたら期待されるほど普及しないのではないかという捉え方もできる。ロボットカーによって既存の自動車メーカーが駆逐されるのは想像ができない。

ロボットタクシーは移動手段を変えるのか

プロ野球球団を持ち、元々はゲーム会社として急成長したDeNAが取り組んでいる事業はもともとのモバゲータウンなどからは想像できないほど多岐に渡るが、その中でも1つ革新的な未来を秘めているのが『ロボットタクシー』である。ITの2兆円という市場に対して、自動車の持つ市場は付帯するものも含めて50兆円に上る。そんな非常に大きな市場を好感に捉え、DeNAが事業ポートフォリオを増やす中でその1つに選んだのだが、理由はそれだけでなく車という概念の中で様々な技術が組み込まれていく中で今後10,20年の中で大きな変化が自動車業界に起こると読み解いたことにあるという。

実は『ロボットタクシー』という言葉はDeNAとZMPというロボットベンチャーとの合弁会社の社名になっている。今後、ロボットカーによるタクシーが普及したらこの名前はその代名詞になるのかもしれない。
というのも、ロボットタクシーは非常に大きな可能性を秘めている。現在タクシーの料金のうち6割が人件費によってかかっているが、ロボットカーの普及によってこの6割が浮くことになれば非常にタクシーの料金が安くなるようになる。そうなればどんどんとタクシーの利用は増えるし、通勤ラッシュなどの解消につながるのかもしれない。家族でのお出かけがロボットタクシーになるような将来も十分に想像できるだろう。

未だ大きな課題を抱えるロボットカー

とはいえ、ロボットカーにはまだまだ大きな課題が存在している。その中でも最も大きいものは法規制であろう。現在多くのロボットカーにかかわる企業が政府に対して働き掛けていると言われているが、もちろん法律は対応ができていない。ロボットカーによって多くのタクシー運転手やトラック運転手が職を奪われるかもしれないし反対の運動も多いだろう。

とはいえ、今後ロボットカーが世の中に普及していくことは言うまでもない。問題はそれがどれだけ早くに起こるのかということである。多くの期待を背負ったロボットカーに我々が乗れる日はいつ来るだろうか。