トップ営業マンが使う5つのプロのテクニック


多くのビジネスマンが必ずと言っていいほど営業を経験する。
営業において、最重要なのは成約を出すことである。しかし、ただ商品を売ればいいという単純なものではない。

営業マンの持つテクニック

会話を盛り上げ、信頼関係を構築し、相手の顕在的ニーズではなく、潜在的ニーズを引き出し、ソリューションを提供し、課題を解決する。営業で成約を出すには、様々な能力が求められる。故に、読者の中にも、成約を出すまでに時間がかかったという人はいるだろう。

そこで、今回は営業で圧倒的な実績を出しているNo.1キャバ嬢や年収4000万の保険外交員などの営業のプロが使う5つのテクニックをご紹介しよう。

会話において大事なのは聞き方

営業で成約を出す際に、まず求められるのは、会話を盛り上げ、信頼関係を構築することだ。では会話を盛り上げ、信頼関係を構築する際に最も大切なものはなんであろうか。言葉遣い、話の内容の面白さ、話が相手にとって興味があるかなど様々挙げられる。多くの人は、会話を盛り上げようと思うと、「話し方」にばかり気が行ってしまうのではなかろうか。先ほどあげた例も、同様に話し方についてである。しかし、話し方ばかりに気を取られていては、会話を盛り上げることはできない。

そうではなく、会話を盛り上げために本当に大切なのは、聞き方である。この聞き方が秀でているだけで、会話を盛り上げることは容易であり、トップの営業成績を残す営業マンでさえ、聞き方を非常に重視している。そこで、まずは営業のプロが一番大切にする会話を盛り上げる根幹、聞き方の営業テクニック「スリーステップ法」をご紹介しよう。

「スリーステップ法」

スリーステップ法とは、話を盛り上げるためのプロセスを3段階の聞き方に分けて考える。

最初は「聞く」という段階であり、漢字に門構えが付くように、話し始めで相手のガードが固い状態で使う聞き方である。この段階では、相手の話しで矛盾点や疑問店があっても、問いたださず、聞き流すのが大切だ。そうすることで、徐々に相手の緊張を解きほぐす。

次に「聴く」という段階である。相手の話に対して、集中して真剣に耳を傾ける聞き方である。これは、漢字の聴くを分解すると、耳+目・心となるが、その漢字通りの状態だ。耳だけではなく、目に見える相手の表情や動きに意識を向け、その心情に寄り添うことが重要である。

最後は、「訊く」。これは質問するという意味だ。言べんが付いていることから分かるように、口を使うのが特徴である。質問は、聞き手に関心を持ち、相手の気持ちをわかろうとしているという意思表示にもなる。

スリーステップ法の実践

では、実際に会話を盛り上げるには、どのように、この方法を使うのか。まず、円滑な会話には「聞く」と「聴く」が必要だ。最初に「聞く」ことで、相手に気を許させて、アイスブレイク、話しやすい雰囲気作りを促す。聞くことで話しやすい雰囲気の構築に成功したら、次は「聴く」で相手の仕草や表情にも注視しつつ、真剣に話を聞いていく。この2段階を経て初めて、「振る(伝える)」で自分の考えを相手に伝えるようにする。

この時、相手が言いたいことを充分に言い終わるまで、聞き役に徹して、それから自分の意見を伝えるようにするのが大切だ。途中で話を遮ったり、結論を決めつけると、相手の機嫌を損ねる。

このように、最初に相手に問いたださずに聞くことで相手の緊張を緩和させ、次に相手に関心を持って話を聞くことで信頼関係を構築、最後に自分の考えを伝え、自分を相手に知ってもらうという3つの段階を踏むことで、話を盛り上げることが可能である。

No.1キャバ嬢も使う「トリガー法」

聞き方をマスターしたら、次に会話を盛り上げ、信頼関係を構築するのに必要なのは、質問の中身である。営業をしたことがあるなら、こんな経験をしたことはないだろうか。お客さんのリアクションが控えめで、話すのが得意ではなく、話が全然盛り上がらない。「○○さんは、こういうことが好きなんですね!」「○○さんはこんなことをやってるなんて、すごいですね!」と盛り上げようと会話をするが、「はぁ」「まぁ、そうですね」など質問に対して、控えめなリアクションしかせず、話が全く広がらない、こんなことで困った経験が一度はあるのではなかろうか。

もし、そうなら、次の話は非常に有益だと確信している。次に紹介するのは営業の中でトップの実績を上げるトップ営業マンや競争の激しいキャバクラの世界でトップを走り続けるNo.1キャバ嬢。そういった営業のプロが使う質問の中身に関する最強のテクニックである。飲み会や交流会で、楽しげに自分の話を披露し続ける人を見かけたことはないだろうか。そんな相手が気持ち良く話している状態を意図的に作り上げることができたら、どうだろうか。今回は、そんな相手が独演会のように話し続ける状態を意図的に作り出す、最強の営業テクニック「トリガー法」をご紹介しよう。

トリガーとは、「引き金」「きっかけ」という意味である。トリガー法とは、相手の話が洪水のように止まらなくなる話題を見つけ、話のネタを投げかけ、相手が爆発的に話続ける、最強の営業テクニックである。このトリガー法には、2つの営業テクニックが織り込まれている。

1つ目は、短期記憶法である。短期記憶法とは、相手に興味を持ちながら、相手に関して情報を集め、質問を沢山考える。その中で、たった一つの質問にだけ絞り、他の質問はネタをイメージとして短期記憶に残しておく方法である。

2つ目は人差し指理論である。人差し指理論とは、話が苦手な人にとって、相手を指す人差し指は「伝わって」という願望であり、中指と薬指、小指は全部自分の方に向いている。話が伝わらない時は、まず自分にベクトルを向けるのではなく、相手にベクトルを向け、まず自分が相手に興味を持っているかを認識し、理解し、尊重しているかを振り返る考え方である。そして、トリガー法は、相手が爆発的に話をし始める話題を提供する。そのトリガーを探し出すために、「短期記憶法」と「人差し指理論」を組み合わせる方法である。

トリガー法の実践

とは言っても、実際に行うのは容易ではない。そこで、トリガー法を活用するための方法もある。その一つがどんな話題を提供するか、である。話題を広げたいなら、出身地。関係を築きたい相手であれば、家族構成、趣味、出身大学など、一度聞いたことは覚えておくことが肝要だ。そして、相手のトリガーを引くには、先ほどもご紹介した「人差し指理論」の相手への興味を持ち、その人の趣味嗜好などを押さえるのが非常に重要になる。

No.1キャバ嬢は、お客さんノートという趣味・会社・業種・連絡可能時間帯などを細かくつけている。このように、会話のプロも使用するほど強力な方法が、トリガー法である。もし、初対面で何も情報が無いならば、外見などで目についたものを褒めるのも有効だ。「高そうな時計ですね」「ロレックスですか?私には手が出ません」こんな調子でさりげなく話題を振ってみると、相手の口数が増える。

整理するとトリガー法とは、相手に興味を持ち、普段から情報収集を重ね、質問を一つに絞り、相手が湯水のように話し出す話題を探る方法である。お客さんが口下手であったりリアクションが薄い時はこのトリガー法を使うことで、場が全く盛り上がらない、気まずい、そんな事態を回避することができると考える。

2択を投げかける

聞き方と質問の内容をマスターしたら、次に必要になってくるのが、質問の仕方である。会話をしていると、相手に興味を持っているはずなのに、なかなか会話が続かないという経験はないだろうか。そうなると、相手のノリが悪いだとか相手と自分の波長が悪いとか思ってしまうものだろう。だが、本当の原因は相手ではない可能性が高いのだ。もし、このような経験をしたことがあるのであれば、次にご紹介する内容は、今までの会話の悩みの解決に寄与するものになると考える。

では、今回ご紹介する内容は、話を爆発的に盛り上げる4つの質問の型だ。話が盛り上がらない原因の一つとして、質問の仕方が挙げられる。相手が答えやすい質問ができれば、どんな人とも会話を盛り上げ、新規顧客リストを現状よりさらに増やすことも可能である。

まず1つ目は選択型だ。「AとB、どっちがいい?」と二者択一で質問を投げかけることで、相手が容易に返答できる。この質問の型を使うことで、「自主的に仕事を進めAさんと、言われたことだけやるBさん、どちらが成長できるかな?」「そりゃ、Aさんでしょう」といった具合に、相手に選択肢を与えることで、自分が話したいAに誘導することができる。

具体化する

2つ目は具体化だ。まず、この質問の型は「この本、すごく面白かったよ」といった話の中の面白いという抽象的な部分を深く掘り下げる。
面白いという感覚は個人差があるので、「具体的にどこが面白かったの?」などど掘り下げて質問をし、認識のズレや勘違いを防ぐことが可能である。

多角化

3つ目は多角化だ。この質問の型は、相手が固執した考え方を持ち、聞く耳を持たない場合に効力を発揮する。相手が聞く耳を持たない場合、「もし〜だったらどうですか?」と物事を仮定したり、「逆の立場で考えるとどうでしょう?」と、多様な視点から質問を投げかける。そうすると、相手の気分を害せずに、相手の視野を広げることが可能だ。

最後に4つ目は漠然型だ。この質問の型は、「夢はなんですか?」といった漠然な質問を投げかけるので初対面など会話が弾みにくい場面では避けたほうが懸命である。しかし、気の置けない相手に投げかけることで、思いもよらない意外な話を引き出すことができるので、そういう相手との会話では効力を発揮する。

以上、会話を爆発的に盛り上げる4つの質問の型をご紹介した。相手への興味を持ちながら、4つの質問の型を駆使すれば、相手との気まずい沈黙を作ることなく、話を盛り上げることができる。

ゆったり感を大切にする

聞き方、質問の内容、質問の仕方をマスターしたら、次に成約を出すために必要なのはあなたから買いたいと思われる在り方である。ではその在り方とはどのようなものなのだろうか。次は営業のプロではなく大繁盛店からその在り方を学ぶとしよう。

世の中には多くの企業が存在する。どの企業も売り上げを出すことに必死だ。しかし、その想いが別の方向に歪み、不正を働いたり、ブラック企業になったり、人件費を削ったり、誤った方向に行く会社もある。

その一方で、売り上げを他店の何倍も上げる、繁盛店も実際に存在する。そこで、他者を圧倒する売り上げを誇る繁盛店を分析した結果、ある1つのことがどのお店にも共通しているある1つのことが見えてきた。
そのたった1つの共通点が「ゆったり感」だ。

客の心地よさを引き出す

例えば、靴を買いに行き決心がつかず「すみません、色々出してもらったのですが、もうちょっと考えていいですか」と帰ろうとする。この時に、売れる靴屋さんと売れない靴屋さんが分かれる。人気の売れる靴屋さんは、絶対にお客様より先に立たない。「今度、25日にまた新しいのが入ってきますから、ぜひ見に来てくださいね」
と言いながらずっと座っている。「何かありましたら、私の名前を言ってください」と言って名刺を渡す。一方、あまり人気のない売れない靴屋さんは、「今度にします」と言うと、「はい」と言って、お客様が立たないうちから片付けを始める。

気持ちがそこで離れたので、悪意は無いとは言えるかもしれない。買うと言うと思ったお客様が買わなかったので、ムッとした余裕のなさがそこにあらわれたのである。
これは時間の余裕ではなく、自分の心の余裕のなさだ。「このお客様とは一生付き合う」というロングスパンで物事を考えていないのである。

「今日買わなかったら、もうダメ」「こんなに出してやったのに、なんだこいつ」とムッとすると、サッと立ち上がるというせかせかを相手に感じさせてしまう。こういう人は、相手を急かす時に、サ行を使う。「さあ、行こう」「さあ、帰ろう」と言うのはせかせかしている人だ。ここで、ゆったりしたり、まったりしたいお客様は「なんか冷たくされた」と感じるのである。

お客様より先に立たないという1秒で差がつく。つまり、他者を圧倒する売り上げを誇る大繁盛店のたった一つの共通点とは、ゆったり感なのである。このゆったり感を演出するためにお客様より先に立ち上がらないといった1秒の差に敏感になる必要がある。そして、お客様に対して商品を今日買わなくても、せかせかしない。お客様は一生付き合う仲間だというロングスパンで考えることがゆったり感を演出し、商品が売れるお店にするには非常に重要な考え方だ。
まとめると、お客様は一生付き合う仲間だと思うことで、せかせかした気持ちが消え、ゆったり感が生まれ、そこからファンができ、営業でも成約を出すことができる。

年収4000万の保険の営業マンの極意「あっさり、しつこく」

次に成約を出すために必要なのも、先ほどと同様に在り方である。これは、仕事ができない営業マンのイメージを思い浮かべると理解しやすい。「この商品買ってください!」と気合いで、何度も何度もしつこく言ってくる。土下座をしてでも泣いてでも買ってもらおうとひたすらしつこいのに、ダメだと思うと、あっさり諦める。これが仕事ができない人の典型である。このような営業の在り方は最初はしつこく、後はあっさりということで、「あっさり、しつこく」というやり方だ。

では、仕事ができる人はどのように営業をするのだろうか。この商品を買ってくださいとは言わない。相手のニーズ、悩みを聞き出して、それとなく商品があなたのニーズを満たし、悩みを解決するという提案ができる。お客さんは断る理由が無くなり、いつの間にか買ってしまう、そんな営業だ。

例えば、年収4000万の保険のトップセールスマンがいる。彼は営業マンなのにも関わらず、一切商品を売らない。その代わりに、お客さんの人生の変わり目に必ず寄り添ってくれる人でいることが大事だ。ラーメンを週3で一緒に食べることもあるそうだ。お客さんが稼げてない時に、仕事を紹介したりする。この人のために何かできることはないかと、一人一人の人生に真摯に向き合っている。
目の前のお客さんは商品を売る相手ではない。これから一生付き合っていく仲間なのだと考える。このような営業の在り方が「あっさり、しつこく」だ。しかし、中には、それでも断る人間がいる。そういう時は、あっさり引き下がる。その代わり、次の日に、また相手と会う。そのつどあっさり引き下がって、それをずっと継続できるのである。その逆は、非常に面倒だ。買うというまで、テコでも動かない、家の前に座り込み、警察を呼ばれる。断られると、逆ギレをする。これが「しつこく、あっさり」だ。多くの人間は、「ブレる」の解釈が間違っている。「あっさり、しつこく」できることがぶれないということなのである。引き下がるとこは、引き下がる。

営業以外の仕事でも役に立つ

このような「あっさり、しつこく」という在り方を継続できる人は異性を惹きつけ、仕事でも成功を収める。仕事の具体例を挙げよう。上司に出した企画書がボツになったら、仕事ができる人人はあっさり引き下がる。「てにをは」を変えて、また出す。またボツになる。縦書きを横書きにして、また出す。
知らん顔して平気で出し続けることで、何かのはずみで通ることもある。ある意味、やる気を試されているのだ。

仕事ができない人間は、時間の使い方が下手だ。「なんでダメなんですか」とグイグイ粘る。粘ったわりには、一度断られると二度と出さなくなる。これが最も失敗するパターンである。イタリア人のナンパは非常に良い例だ。女性に断られても、1分後に、また誘う。これも、「あっさり、しつこく」と言えるだろう。

以上、5つが営業のプロが教える営業で成約を出すテクニックである。やはり、営業で結果を出す人間は、お客様に真摯に向き合い、その時間が自分にとってではなく、相手に価値を感じてもらえることを重視している。いつも自分ではなく相手にベクトルを向け、相手目線で考える。相手に価値を与え続け、相手から多くの感謝をいただき、その結果として成約が決まる。この思考こそが、結果を出す人間となかなか結果を出せない人間の境界線だと言える。