AIの真価は”言語を超える”点にある


常に注目され続ける人工知能。
その真価はまだまだ発揮されていない。それは、非言語領域に存在するのかもしれない。

注目がより強まる人工知能

近年、人工知能(AI…Artificial Intelligence)への注目はどんどんと増えてきている。Siriなどの会話をこなす人工知能に、ゲームで用いられる仮想プレイヤーとしての人工知能、そして人工知能が入会者を決めるSNSなど。

人工知能は常に様々な分野での応用も進み、自動運転車などさらなる可能性も含め様々な面での貢献は間違いない。また、Googleが東京大学院で人工知能の研究を行っている学生に対して年収1800万円でのオファーをしていることも話題となった。
ちなみに、上場を果たしたグノシーのサービスも、東京大学院で人工知能の研究を行っていた福島氏がその一環としてリリースしたものが母体となっている。

IBMワトソンの持つAIとしての素質

この記事は、ソフトバンク社がIBMの開発したソフトウェアであるワトソンの販売を行っていることに触れている。その中でワトソンの持つ人工知能としての強みが現在の人工知能の持つ可能性を物語っている。

仮に、ワトソンに絵本の『桃太郎』を学習させるとします。そして「桃太郎が戦っているシーンを教えて」と質問すると、桃太郎と鬼が戦っているページを教えてくれる。

ですが、その中には「戦う」という単語はなく、「桃太郎が刀を振りかざした」という記述があるだけのページもある。つまり、ワトソンは物語と質問の内容を解釈したうえで、文脈を判断して回答するわけです。

今までの人工知能のイメージは、文章に対して人間にできるだけ近いような形で返答を行うというのがあった。ところが、非言語であったり行間を読むといった直接的でない会話ややりとりに課題を抱えていたわけである。要は、主語などをしっかりと指定している会話にはほぼ完璧に対応できるが、その主語を指定しない(つまりは、今は~の話をしているのだからそれは~のことであろうというような推測を会話の行間から想像する必要がある)ものについてはその意図をくみ取ることができないという課題を抱えていた。

ところが、このワトソンはそういった課題を克服する。単純な単語の掛け合わせではなく、単語の持った幅広い意味やイメージを会話の中で共有することができるのである。

人工知能が非言語を処理できるとき、人間を超える

人工知能の弱みというのは確実に非言語の領域である。コンピューターはプログラムされた内容に対して回答を返すことに対しては一流ではあるが、様々な可能性を頭の中で処理した上で”おそらく正解である”回答を返すことについては実はかなり劣っている。正解と不正解の2択でしかものごとを考えることができないからだ。
その上、非言語領域については特に解釈の仕方に分岐があまりに存在する為人工知能も太刀打ちの出来ないことが多かった。

しかし、このワトソンをはじめとして、人工知能は非言語領域についてもより人間に近い演算を行うことができるようになっている。ディープラーニングをはじめとした技術でより人間の考え方に近い機能を備えている。人工知能は人間を超える時が来るだろう。