三菱UFJが若手研究者の起業支援開始に多くの批判の声


日本国内で最大の銀行である三菱UFJフィナンシャルグループ。
大企業中の大企業である同社が起業家支援の事業を始めるという。若手研究者はUFJの手で起業家に変わるのか。そして、日本を代表する起業家はこの事業をどう見るのか。

三菱UFJが異例の起業家支援事業を展開

 三菱UFJフィナンシャル・グループは、起業を目指す先進技術の若手研究者らを2年間、正社員並みの待遇で雇用し、ベンチャー(新興企業)経営者に育てる事業を始める。

出典 http://www.yomiuri.co.jp/

三菱UFJフィナンシャルグループが将来的な起業を支援して、若手研究者の雇用を2年間行う事業を始めると発表した。邦銀として初の起業家育成の取り組みとなる。
対象となる研究者は20歳代前半から30歳代前半までの男女で、理系大学院の修士号を持っていること。若手の研究者であったり起業経験を持つ者を対象としている。メディカル分野や先進医療に関してなど、そしてロボットや宇宙産業など今後の世界的な産業に発展する可能性がある分野が現状では上がっている。
募集は11月から始まり、三菱UFJリサーチ&コンサルティングで採用する計画で大学院の研究活動と並行して行えるようにするとのこと。

銀行による異例の取り組み

こうした例は邦銀としてはもちろん初のことであり、国内外で広く行われている民間の起業家育成の取り組みの中でも異例のことであるという。日本だけでなく、外国でもこうした銀行による起業家育成の例は見ない。
UFJの子会社で2年間の雇用という形による支援もまた珍しいケースである。

UFJはこうした支援から未来のアップル、グーグルのような大口の顧客が生まれてくることを期待しており、研究者としての素質を持った人物がUFJグループの中で経済、経営に関する業務を行う中で研究者のみならず経営者としての能力を身に付けることを支援するという。なお、給与は正社員と同様の待遇であるという。

UFJの取り組みに批判殺到

こうした取り組みに対して堀江貴文氏ほか、起業家や経営者からは批判が殺到。ほとんど肯定的な意見は聞かれなかった。
『大企業病に犯されていて、中小零細企業を審査する能力もない銀行なんかで経営が学べるはずがない』
『起業家というものは企業の中で育てるものじゃない』
というような意見が多く挙がった。

『晴れの日に傘を差し、雨の日に傘を取り上げる』と揶揄される銀行。その経営はいたってシンプルであり確実に回収できるところにはお金を頭を下げてでも貸し、そうでないところには意地でも貸さない。
確実性という言葉からは縁遠いように思える起業に対してはたして銀行が向き合えるのか。弊誌としては残念ながらUFJのこの事業が存在する意義、成功するビジョンは全く思いつかないものではあるが、どのような未来を迎えるのだろうか。