アメリカのホリエモンと呼ばれる男を知っているだろうか。
その男の名はマーティン・シャリ。いったいどんな男であろうか。
アメリカのホリエモン
マーティン・シャリという男がアメリカのホリエモンだと注目を浴びている。その男の半生とはいったいどのようなものであろうか。
その男マーティン・シャリはアメリカで昨年2015年の12月17日に証券取引詐欺の疑いで逮捕された。23歳の若さでヘッジファンドを設立。さらには3つの製薬会社を買収しCEOに収まるなど、たったの3年前にはフォーブス誌の発表する『30歳以下の金融業界の成功者30人』に挙げられるほどの成功者であった。
はたしてそんな男がどうしてアメリカのホリエモンになったのだろうか。
貧しい生まれであったマーティン・シャリ
マーティン・シャリは1983年4月1日にクロアチア移民の貧しい家庭に生まれた。その才能は若くから片りんを見せ、17歳でヘッジファンド会社のクレーマー社にインターンとして入社した。そこでバイオテクノロジー会社の株価の暴落を予想し、そのことで独立し23歳でヘッジファンドを設立するに至った。
彼のヘッジファンドはいわゆるアクティビストファンドと企業再生ファンドの中間にあたるもので、買収した製薬会社のCEOに自身がなり、その後高い金額で株式を売り抜くという形でファンドを運営していた。彼の行う経営に対して批判が集まることも多かった。
敵を作ることの多かったマーティン・シャリ
彼は堀江貴文氏と同様に、敵を作ることが多かった。問題となったのはその有無を言わさぬ自らの利益のためのトレードの方法や経営の方法である。そういった意味では”物言う株主”として知られる村上世彰氏と似ているかもしれない。彼自身が批判を浴びたのは自信の製薬会社の価値を高めるために競合となる製薬会社の空売りを繰り返して株価を下げるなどの行為だ。
そういった彼のやり方からか、批判を増やしていき、最後には2015年12月17日に逮捕されることになった。その直接の要因ではないかと言われているのが、彼が販売権を手に入れたダラプリンというエイズの症状のひとつであるトキソプラズマの薬の価格を1錠13ドル50から750ドルに変更したことだろうと言われている。需要の少ない占有市場の薬ではあるが、この薬を過剰な価格へと吊り上げたことは(エイズの症状にかかっているという意味での)弱者からお金を搾り取る行為として批判された。
儲けることは悪いことなのか
このマーティン・シャリに堀江貴文氏、そして村上世彰氏のように儲けることは悪なのだろうか。例えば、マーティン・シャリや村上世彰氏のような株価をコントロールするような(あえて株価操縦とは違う意味合いである)方法は市場の中で存在する正当な方法に基づいている。例えば村上氏の持っていた株式を買わない投資家がそれだけ増えれば(彼のやり方で経営状況がその後落ちると予想して)、そのやり方は通用しなくなる。
言ってしまえばそういった市場の偏りを生むようなやり方が通用するのはそれだけ彼らの思い通りに反応するバカな投資家が存在するからだ。堀江貴文氏はフジテレビを買収しようとして批判されたが、株式を売買するのは市場の自由だ。それを被害者面するのはムリがある。ならばニッポン放送は上場しないで自分たちのみで株式を保有していればいい。上場の時点で生まれた買収というリスクは正当なものである。
世の中にはルールという枠を超えたおかしな決まりを人間がその感情によって作っているとしか思えないふしがある。日本特有のものと思われていたが、アメリカでもこうした事例が出ている。このこと自体は人間が感情を持つ以上なくならないだろうし、もしかすると起業家はそういったことに向き合いながら生きていかなくてはならない。