リクルートに根付く新規事業のリスクを減らす術


言わずと知れた最も大きなベンチャースピリットを持った企業リクルート。
その新規事業成功の秘密がここにある。

なぜリクルートの新規事業は成功するのか?

こんな議題の記事があった。
リクルートと言えば、弊誌でも何度か紹介させて頂いた(『リクルートが儲かり続ける理由』や『なぜどこもリクルートに追いつけないのか』など)超メガベンチャーである。1963年の創業から50年経った今もベンチャースピリットを持った企業として有名である。多くの新規事業、起業家を生んだ企業ではあるがそんなリクルートには新規事業のリスクを減らし成功へと導く術があるという。
下記の元記事の中からいくつか抜粋して紹介したい。

http://logmi.jp/79181

歴史のある企業もある中で生き残るのはごくわずか

なんと日本には100年以上の歴史を持つ企業が実は2万6000社も存在する。日本は世界でも類を見ない老舗企業の宝庫であるという。京都、次いで山形と歴史ある土地には100年企業が多く存在する。日本で最も古い企業は金剛組という寺社を作る企業が1400年以上の歴史を持つ。

その一方で、20年続く企業はわずか1%にも満たない。もちろん、その全てがうまくいかなかったわけでなく、積極的な経営統合や新しい会社の立ち上げなど99%の全てがうまくいかないなどはありえないのだが、企業が続くケースはそれだけ少ないというのは言うまでもない。

このように、どんな企業にでも衰退期は訪れるのであるから、新規事業を行って活性化していく必要がある。有名なのは富士フイルムのケースである。富士フイルムはフィルム分野でコダック社に追随する勢いで走っていた。しかし、フィルムがいずれなくなっていくことに気付いた富士フイルムはその他の事業(医療分野など)にリソースを充てた。結果としてコダックは倒産し現在はiPS細胞に関する開発を行う富士フイルムは存続している。新規事業に舵をとれるか否かが企業を存続させるための鍵である。

企業内新規事業の強みはリソース

企業内新規事業の最大の強みは、経営資源を使うことができることにある。
起業ともなると基本的にはゼロからスタートするわけではあるが、取引先の開拓、人材の確保、資金の確保などすることは山積みである。ところが、企業内での立上げの場合についてはそれをすでに企業である中から使うことが出来る。

実は日本最大の企業トヨタは企業内新規事業によって生まれている。
アスクルやファナック、さらにはセブンイレブンも企業内新規事業であり、そのスケールは非常に大きい。企業内の事業だと侮るなかれ、実はこれほどのスケールになるケースも非常に多い。

企業内起業は人選から始まり、トップの覚悟が大事

企業内起業の肝はなんといっても人選である。人選がその事業の成功・失敗に大きく影響し、最も大事である。どんな優れた事業でも人選を間違えるとうまくいかない。

そして大事なのがトップの覚悟である。トップがまず先陣をきって覚悟を決めて動かなければ事業はうまくいかない。
そのことと関連して、本社の中に新規事業開発チームを置くとうまくいかないという。事業の中で上司に答えを求めるようになってしまうと事業は必ず停滞する。それはその中で上司に気に入られるような事業にしてしまうからだという。
前述のファナックは富士通から生まれ、世界を代表する工作メーカーになったが富士通の本社から離れた日野で事業を興している。

意思決定には人数をかけてはいけない

過去の成功体験から経営層が判断をくだすとマネジメントとオペレーションの狭間でギャップが生まれ、判断の方向性が間違ってしまう。判断基準を明確にするなどそういった過去の経験に依存しない判断軸を持たなければならない。
同様に、意思決定に多くの人数が関わると必ずその案は丸くなってしまい、つまらないものとなる。

経営資源を目に見えないもの含めフルに使い、事業の成功要因をしっかりと健闘した上で、KPI(最も重視する指標)を設定する必要がある。不明瞭なままなんとなく過去の経験から事業を進めていては成功は見えてこない。

企業内起業でありながらも尖った事業に

上記をまとめると、企業内起業というのはえてして社内での今までの風習に縛られたり、意思決定が遅すぎて人も介入しすぎてつまらない事業になりがちだ。起業でありながら社内の風土におかされてしまうケースはそれだけ多いということであろう。
だからこそ、企業というのは停滞しがちでスピードが遅くベンチャーよりも圧倒的なリソースを持つにも関わらずベンチャーにすら抜かれるのだろう。

企業内起業はリソースを利用できるという圧倒的な強みを持っている。さらには失敗しても痛手は小さいしかし、それゆえにサイバーエージェントの例のように失敗続きになってしまったり、そう有利だとも言えない状況にある。そんな中結果を出し続けるリクルートの手腕はお見事と言うしかない。