CAはなぜ新卒社長を生み出し続けるのか


755で発覚したまたしても新卒社長の失敗。
それでも新卒社長を量産するサイバーエージェントはどのような意図を持っているのだろうか。

755で20億円の投資を失敗したサイバーエージェント

http://kigyo-ka.com/00198/

サイバーエージェントと堀江貴文氏は755に対して20億円の投資を行った。(主にCMの宣伝広告費であろう。)
しかしながら事実上それが失敗したわけではあるが、755の社長はサイバーエージェントのお得意の新卒社長であるという。

20億円ともなるとかなり大きな額であり、その額を新卒社長の肩にのっけた形になる投資はうまくいったとは言えない。その結果がはたして新卒社長であることに起因しているかはもちろん分からない。どれだけイニシアチブをとっているかは謎であるがそれなりの期待と責任を与えているのは事実であろう。

サイバーエージェントが新卒社長を生み出し続けるわけ

http://thestartup.jp/?p=14892

この記事においてそのうまくいっているとは言えないサイバーエージェントの新卒社長が生まれるわけについて考察している。その内容について本誌でも取り上げ、いくつか考察してみたい。

採用のブランディングになる

まず、新卒社長というインパクトは非常に大きい。同じように社員に対して権限を与え、成長を促す企業の代表例はリクルートではあるが、そのリクルートは子会社代表取締役の最年少記録が20代後半である。つまりそれと比べると5年ほどの差がある。さらには新卒ということは実務経験がないため、その差というのはかなり大きなものがあるだろう。

甘っちょろい話ではあるが、リクルートの厳しい環境の中でしのぎを削って5年ほどして子会社社長になれるよりも、サイバーエージェントですぐに新卒社長になれるのを見ると、そっちの方がいいと思う学生はいるだろう。おまけにサイバーエージェントの楽しそうでリア充な社風を大いに表していると言っていい。
こうした新卒の登用は『サイバーエージェントって楽しそう!!』という印象を学生に抱かせるには十分である。

補足しておくと、企業は1人の採用あたりに200万円ほどかけている。要は1人の採用コストが200万円であるわけだ。新卒を30人とるとしたら6000万円となる。その中で新卒社長を1年に1人生み出し、2000万円出資してそれが水の泡に消えたとしても、採用コストと考えるとそう大きくはないことが分かる。

人材の流出を食い止める

サイバーエージェントと言えばベンチャー企業として比較するならばDeNAやGREEとが多い。実際この3社はベンチャー企業の新卒採用における御三家と呼ばれている。
もちろん、新卒時にそうした学生を呼び込む狙いもあるが、もう1点はそうしたライバル企業への転職や独立を防ぐためであろう。20代後半の脂ののった人材が考えるのは①同じ業界で転職、②起業など独立である。その中で選択肢に③サイバーエージェント子会社の役員という選択肢を入れることができる。

新しい企業でうまく地位を築けるか分からない、起業してもうまくいくか分からない。その中で給料をもらいながら新規事業の立ち上げに経営者層として絡むことができるのは社員にとってはこのうえない環境であろう。新卒社員の登用の他にも、中堅社員の役職を用意するという利点も子会社にはある。
ただ、その際キャリアのある中堅社員ではなく、新卒社員が代表取締役というのは納得できるものかどうかは謎である。

要は、当たれば儲けもの、外れても元をとれる

もちろん出資額にもよるが子会社がうまくいけば株式は100%をサイバーエージェントが保有しているからリターンは大きい。そういう意味ではしっかりと企業として利益を生み出してくれるのが1番である。

にもかかわらず外れても新卒に関する宣伝も含めブランディングにもなるという非常に美味しい話であることが分かる。
とはいえ、20億円を投資した755に新卒社員を登用するのだからそれなりに期待しているのは事実である。

もう1点ではあるが、実は優秀でない社員を子会社に出向させると非常に残酷な話が待っている。その子会社が潰れても新卒社長など優秀で勢いのある人材はまたサイバーエージェント本社に戻ってくるだろうが、その出向させられた社員は見事にクビを切られることになる。そういったことをサイバーエージェントが行っているかは不明ではあるが、それが可能であるのは事実である。

学生や若手社員はもっと深く考えよう

事実、そのような戦略でサイバーエージェントは多くの学生を新卒採用している。優秀な人材も多くいることだろう。ただし、その裏にあるサイバーエージェント側の意図に気付いているかは不明である。
新卒社長でうまくいけばサイバーエージェントでの評価は膨大なもになるかもしれないが起業家として自らがリスクを負って事業を大きくしたほどのリターンはもちろんない。社長の座を明日外されるかもしれないし、給料だって上がるかなんて分からない。企業で最も強いのは株主である。代表取締役はただの役割でしかないことを知るべきだ。

もちろん、そこで結果を出せば貴重な経験が得られると言うだろう。それは間違いではない。ただ、今の時代に経験を目的に仕事をする人間が結果を出す姿は見たことがない。結果を出せる人間は自分の価値に気付いているしそれに対してリターンを求める。要は何も知らないからリターンについて頭が回らないのであろう。それはただバカなだけではないだろうか。
否定するわけではないが、サイバーエージェントの子会社社長の成績を見ればそれは明らかである。