LINEより遥か上をいくメッセージアプリがある。
中国最大のメッセンジャーであり、世界で最も進んだWeChatはユーザー数もさることながら、その社会への圧倒的な浸透を示す数字を叩き出している。
テンセント驚愕の決算
テンセントの2016年第3四半期における当期純利益は昨年比43%増の106億人民元(1500億円ほど)で、売上高は同52%増の404億人民元(6000億ドル)だった。テンセントの現在の時価総額は20兆円を超え、アジアのテック系企業としては最大である。(その額はアリババより大きい)
テンセントはもともとsupercellを買収したことでも知られるゲーム企業であるが、同社の名前が世界に知られるきっかけになったのはWeChatというメッセージアプリである。中国ではほぼ全ての人が利用するメッセンジャーであり、日本でいうLINEにあたる存在と言える。
しかし、その規模と成長スピード、生活への浸透の度合いで言えばLINEの遥か上をいく存在である。
WeChatのMAUは驚異の8億人超え
WeChatのMAU(マンスリーアクティブユーザー)は8億4600万人だ。LINEのそれが2億人ほどであることを考えると驚異的な数字であると言えるだろう。もっとも、中国の人口が13.5億人ほどであることを考えると
テンセントのオンライン広告収益は、75億人民元(約1100億円)である。年間で4500億円ほどのペースであり、LINEの売上高が年間で1500億円ほどであることを考えると非常に大きな数字である。(LINEに関してはうち半分以下が広告収益である。)
決済が進むWeChat
テンセントは2016年初め、WeChatと統合されたモバイル・ペイメントサービスのWePayに関する数字を初めて公開した。WePayを通して送金された金額の合計が500億ドルに達したと発表しており、WeChatを通して非常に多くの決済がなされている。
中国の文化も寄与しているが、WeChatはただのメッセンジャーにとどまらず、中国国民に欠かせないプラットフォームになっている。LINE Payが予想ほど普及していないいことと比べると非常に大きな成果であると言えるだろう。
アメリカのワッツアップ(今ではFacebook傘下)がMAUが10億人を超えているのを考えるとそれに次ぐユーザーの多さであるが、ビジネスとして成功しているのは圧倒的にWeChatである。
また、これも中国の文化であるかもしれないが音声によるメッセージの送信もまたWeChatが最も進んでいるだろう。メッセンジャーとして圧倒的に進んでいるのがWeChatである。LINEもまたここに習う部分は多いかもしれない。