会員の個人情報流出で一気にイメージダウンのベネッセ。
さらには多くの会員を失った。そんなベネッセに追い打ちをかけるように教育産業への参入者が相次ぐ。
不祥事で不振のベネッセ
ベネッセが会員情報を流出させた事件は記憶に新しいだろう。その補填として500円相当のお詫びを配布しようとしたところさらに反感を買う結果となり、ベネッセは一気にイメージを落とした。
1年間で94万人の会員が流出した「進研ゼミ」事業だが、業績面では厳しい状況が続く。7月31日に発表した2015年4~6月期の連結決算は、売上高が前年同期比7%減、営業利益が同88%減となり、進研ゼミが主力の国内教育事業の営業損益は前年同期の39億1000万円の黒字から一転、4億3000万円の赤字に沈んだ。ベネッセは、DM(ダイレクトメール)への依存体質を改め、対面での顧客接点の場を増やすために「エリアベネッセ」などの拠点の拡大を急いでいる。こうしたベネッセの動きに対し、競合他社も攻勢をかけている。
出典 http://business.nikkeibp.co.jp/
この不信感を取り除くべく策を講じているものの、残念ながら未だ取り消すことはできていない。
ベネッセが栄華を取り戻すのには時間がかかりそうだ。
ベネッセの陰で成長を続ける競合
教育産業で現在どんどんと規模を拡大している起業と言えばリクルート。同社の展開するサービスが『受験サプリ』だ。
月額980円で講義の動画や、Web模試を受けられるなど充実した機能を持つこのサービスはCMをきっかけに認知度が一気に上昇、無料会員は100万人を突破するなど好調である。
しかもベネッセが不祥事で減らした会員数は94万人に上り、その数字が酷似しているところにもどこか対比させるものを感じさせる。
サービス内容もオンライン教育であるから、毎月届くテキストを用いて自宅で勉強を行うベネッセとはジャンルは非常に近いと言える。言ってしまえばベネッセの内容をオンラインの最新式にしたものと言えるわけで、これからもベネッセからの流出はある程度考えられるのではないであろうか。
また、『家庭教師のトライ』も非常に好調だ。家庭教師というジャンルがどれだけベネッセと競合するかは難しい部分ではあるが、無料体験など今まで以上に家庭教師を気軽に利用できる体制を作っている。ベネッセか家庭教師かで迷う場面は必ずありそうした際に顧客を持って行かれることは十分にあるだろう。
ベネッセはこのまま沈むのか
ベネッセの強みはその圧倒的な規模による、広大な範囲をカバーするカリキュラムとDM(ダイレクトメール)によるマーケティングによる圧倒的な知名度があった。同様のサービスを展開するにしてもベネッセであるという安心感は1つの指標になるわけである。
その強みはほぼ完全に崩壊しかけている。ベネッセだからこそ不祥事の重みは大きすぎるほどであろう。
とはいえ、教育界の巨人であることは間違いない。『受験サプリ』もその領域は高校生に絞られているし、現状ベネッセの領域に完全に入り込む競合はいないのが不幸中の幸いであろう。一気にベネッセが沈むことは考えにくいのではないだろうか。しかし、それが復活することとイコールではない。