人工知能は人間の頭の中を再現できるか


近年どんどんと注目を浴びる人工知能。
その課題はいかに人間の頭の中と同じような柔軟な思考をするのかという部分である。はたして人工知能は人間の代わりを務められるか。

人間を超えた人工知能に集まる期待

http://kigyo-ka.com/00271/

本誌で紹介した中ではこのIBMの開発した人工知能ワトソンが記憶に新しい。このワトソンは、クイズミリオネアで回答者として参加。なんと人間のチャンピオンにAIであるワトソンは勝利した。クイズにおいては、人間がかなわないほどに人工知能は進化している。また、将棋の分野についても人工知能はすでに人間を上回っている。

例えばワトソンはなんと1997年から開発がスタートしており、2011年に初めて公開されることとなった。このように長い間その概念自体は認知されるものの実用的なレベルまで達するのに時間がかかった人工知能は今ついに集大成を迎えつつある。マイクロソフトとの共同開発でLINE上のキャラクターとして実用されている女子高生りんな(『LINEのAIサービス“りんな”が持つ可能性とは』参照)やソフトバンクが販売するロボットPepperくんなどすでに多くの人に知られるプロダクトも多い。

人間の完成を再現する人工知能アプリ『SENSY』

https://newspicks.com/news/1211911/body/?ref=timeline_100420

上記記事では、さきほどのワトソンに引き続き、そのパートナーであるカラフル・ボード株式会社について紹介している。『SENSY』というファッションアプリを提供している同社では、人工知能がそのユーザーの好みのアイテムを紹介してくれるようになっている。さしづめあなたの好みを熟知しているショップ店員が最適なアイテムをオススメしてくれるような形だ。

このファッションアプリには大きな障害がある。それは、『感性』というひとえに定量化することのできない部分を人工知能で扱うということだ。どんなアイテムを好むかは人によって違う。色はレッド・ブルー・グリーンの三原色によって成り立っているため数値化は可能であるが、誰が何色を好きだとかそんなに単純なことで片づけられるほど容易なものでもない。そうした人の感性を50ほどの変数によって定量化し、それをトライアンドエラーによって正確にしていく、学習性の人工知能(この学習をディープラーニングと呼ぶ)を『SENSY』は兼ね備えている。

人工知能は人間の頭の中を再現できるのか

会話というものに主眼を置かれてきた人工知能であるが、この『SENSY』のように感性という人間の言語化も定量化もできない概念をできる限り正確に定量化しようという試みが行われている。ファッションについては画像という形で色彩を認識しやすいことでチャレンジが続いているが、その次には音楽など次々とあらゆる分野での研究が進んでいくだろう。

このような研究の心眼は、『人工知能により人間の頭の中を創り出せるか』という部分である。コンピューターは元来計算機として生まれた。計算、演算を行う機械が様々な機能をもつことによってここまで進化してきたわけではあるが、その領域はプログラムという与えられた動作を全てのパターンについて行っているに過ぎない。プログラムである以上、人間のように柔軟な返答をすることはできない。例えば上述のりんなでは、会話において『今日の天気はなに?』と聞くと純粋に『昼までは晴れているけど、徐々に曇っていくよ』という風にそのまま返すのではなく、『どっか外に出掛けるの?』というように会話を膨らませるような方向性に話を展開することが可能である。

会話にそのまま受け答えをするのではなく、膨らませるような別の目的を持った思考ができるなどより人間に近くなってきつつあるのがこの人工知能である。今までは、ゲームの対戦相手のような一定の(ゲームに勝つという)ゴールの中で最適な行動をするような意味でのAIが注目されてきた。クイズに正解するワトソンや、将棋で名人に勝つプログラムはまさにそのようなゴールへの最短の最適解を導き出す人工知能である。
今研究されているような人間の思考に近い人工知能は、明確なゴールが存在しない部分で人間のように動くために存在する。ゲームなどの制限された領域でなく、コミュニケーションなどの明快な正解のない領域においてこれからも人工知能は活躍を続けるだろう。