C2Cの原価率の低さとソーシャルゲームの過去


急に出てきたC2Cという言葉を今までどれだけ聞いたことだろうか。
あまりの原価率の低さを誇るC2C市場はまるで過去のソーシャルゲーム業界を思い起こさせるようである。

メルカリ決算に見る優秀な原価率

http://kigyo-ka.com/00353/

アプリビジネスを紐解いたこの記事を覚えているだろうか。メルカリの2015年6月期決算を題材として、メルカリの戦場となっているC2C市場のみならずニュースメディアやソーシャルゲームなどのアプリのビジネスに関して共通する原則について触れたのであるが、それにしても非常に低い原価率というのが目立ったように思える。これはIT産業全般に言えることで、開発費つまりはほとんどが人件費が原価になるわけであるから、原価率が非常に低いのも納得できる話である。

これこそがIT産業の強みであり、昨今世界一の時価総額を争うApple、Googleそしてamazon、FacebookといったIT企業が急成長をしているのはこの原価率の低さに要因があると言えるだろう(厳密に言えば、Appleとamazonは原価という概念が一般のように当てはまる部分も大いに存在する。それでも一般の企業よりそれが少ないことは明白であるが…)。多分に漏れず、日本のIT企業もその低い原価率から急成長するケースは非常に多い。日本での資金調達額トップ10でもそのほとんどがIT企業であることが分かる。

メルカリとエニグモの決算における共通点

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出典 http://www.zaregoto-gakuen.com/

上記の図は、メルカリと同様のサービス『BUYMA』を手がけるエニグモの決算である。これを比較する限りでは、エニグモもメルカリほどではないものの非常に低い原価率であることが分かる。『BUYMA』とは海外にいるバイヤーが買い付けた商品をユーザーが購入できるサービスであり、商品価格帯などはメルカリと違うものの(『BUYMA』は新品だけだし、価格帯も高めである)、C2Cという点では共通しているように思える。

両者はC2Cのプラットフォームを手がけており、その共通点としてメルカリであればメルカリ上で、エニグモであればBUYMA上で買い手と売り手が両者間で売り買いを行い、プラットフォームが手数料を受け取るという形である。そのため、商品を仕入れる必要は企業側には必要ないし、サーバーの補強などは必要であるものの、売り買いが増えたからといって何か原価がそこまで変わるわけでもない。

原価率の低さに群がったソーシャルゲーム

これを見て思い起こされるのはソーシャルゲームで同じような流れがあったことだ。まだミクシィがモンストをリリースしていなかった頃、ソーシャルゲームの初期にGREEなどの企業がガチャという概念を取り入れて大儲けをした(それまでは基本無料で課金によって利益を得るというモデルは当然珍しかった)。ところが当然、そうした状況を受けて他の企業もソーシャルゲームに乗り出すわけである。

最初はモバゲータウン(DeNAのサービス)やGREEのサードパーティーとして開発を行っていたことからDeNAとGREEの独壇場であったが、時代がネイティブアプリに移った(今のソーシャルゲームのようにGREEなどにログインしなくてもダウンロードして遊べるアプリ)あたりから、それがなくなりついにはスマホシフトの甲斐もあってかガンホーが台頭するなどソーシャルゲームが戦国時代へ突入した。

それも当然の話であり、原価率があまりに低いくらいに儲かる事業には様々な業種が参入してくる。そして、IT産業はおおよそ参入障壁は低いことが多いから(開発メンバーをまるごと引き抜いたりすればクオリティ的にも追いついてしまう)、競争は非常に起きやすいということが言えるわけである。

メルカリの覇権を奪うアプリは現れるか

メルカリに遅れてラクマというアプリがスタートしている。これは、楽天のリリースしたフリマアプリであり、そのUIはほとんどメルカリと一緒だと言っていい。そしてメルカリが手数料を10%とるのに対して、ラクマは手数料が無料である。これはメルカリに対して資本力が優位である楽天がシェアをとるまでは消費者に還元する姿勢を見せていることを示している。

現在、ラクマがメルカリからシェアを奪う姿は見受けられない。とはいうものの、メルカリユーザーが他のフリマアプリに乗り換えるのは別にそこまで難しいことではないだろう。評価がたまっていくシステムも相まって多少なりとも移動におけるハードルは存在するのかもしれないが、そこは気軽さを追求するアプリだ、すぐにシェアが入れ替わる可能性は十分にある。ZOZOTOWNのスタートトゥディが提供するZOZOフリマはすでにアパレルについてはメルカリ以上の強みを持っている。

今後C2Cの競争は激化するのか

例えば、『BUYMA』に対して真っ向勝負を挑む企業が存在するかというとそれは難しいように思えるだろう。それは『BUYMA』に対してある程度のブランドや消費者からの信頼ができている部分やその価格帯に起因する。では、メルカリはというと『BUYMA』よりかはその可能性が高いように思える。ヤマトと提携するなど発想の手軽さについてメルカリは秀でているように思えるがそれについてもでは他の業者が参入できないとは言い切れない部分がある。

今後ソーシャルゲームの業界と同じとはいかないものの、C2Cの市場は激化する可能性が十分にあると言えるだろう。C2Cで一歩抜けているメルカリなどは後続からシェアを奪われないように気を使わなくてはいけない。非常に魅力的な市場であるがゆえに安心できない部分は非常に多い。