あのLINEがモール事業からの撤退を発表しました。
今の日本の市場においては最も強いネームバリューを持つLINEでも常には勝つことのできない難しさをよく表しています。
『LINE MALL』がサービスの終了を決定
『LINE MALL』がサービスの終了を発表しました。メルカリやフリルなどと同じC2Cのサービスですが、競合との競争に敗れた形でしょう。手数料ゼロ円に一律料金の配送、匿名配送サービスと非常に優れた(メルカリは手数料10%、匿名配送はできず)システムでしたが、それでもメルカリに軍配が上がったようです。
LINEというネームバリュー、そしてLINEアプリという非常に高いアクティブ率を誇る媒体を利用できるというアドバンテージを持つにもかかわらず、そしてシステムでのメルカリ以上の優遇をしたにも関わらずサービスが成功しないというのは非常に難しさというか、webサービスの面白さを感じます。
なぜ『LINE MALL』はうまくいかなかったのか
『LINE MALL』のサービス終了については、C2CよりもB2Cの可能性を大きく捉えたためとしていますが、C2CのサービスとB2Cのサービスを共存させているヤフーや楽天(ラクマというフリマアプリを展開している)のような存在もあるため、純粋にC2C領域について想像ほどの成果が得られなかったと考えるのがいいでしょう。
なぜ、『LINE MALL』はうまくいかなかったのか。第一には、LINEというサービス性質があまりC2Cとマッチしなかったことも挙げられるでしょう。友達が出品してたからと言って買おうとは思わないし、友達がスタンプを送ってきたからこれを買おうかなというような現象はC2Cについては考えにくいです。
それならば、B2C領域で、『私はこんなものを買いました』とLINE上でシェアできる方が、『私も欲しい!』となる可能性においてシナジーを期待できるわけで、B2C領域に力を入れるという施策は非常に頷けるものでしょう。フラッシュセールなどに力を入れる予定とも発表されており、LINE媒体での発信力を生かしたEC事業ができそうです。
LINEでも全てがうまくいかない難しさ
見方を変えて、LINEがメルカリの領域を獲りにいったと聞いたら間違いなくLINEの勝利を確信するはずです。そこまでにLINEの力というのはずば抜けたものがある。とはいえ、それでもメルカリに対してインパクトは残せなかった。『LINE MALL』というサービスがメルカリに対して大きく出遅れたとか、すでに市場が寡占状態にあったとかそういうわけではないでしょう。
シンプルに同じ条件でメルカリはLINEに勝ったのでしょう。もちろん、LINEが『LINE MALL』に全てを費やすくらいの状況でしたらまた結果は違ったように思えますが、webサービスの市場はユーザーの棲み分けがすぐにできることもあって、強者が必ずしも勝つわけではないということをよく示す事例でしょう。