DeNA創業者南場智子氏が『マッキンゼーで学んだことは1つもない』と語るわけ


DeNAを1999年創業し、現在横浜DeNAベイスターズの球団社長を務める南場智子氏。
彼女の語った経験談からは非常に多くのことを学べる。

起業家南場智子氏の創ったDeNAという企業

もともと、DeNAという企業は今とは全く違う形で成立した。
世界的コンサルティング企業マッキンゼーに勤めていた南場氏がソネットに対して、
『これからはモバイルオークションの時代です!なぜやらないんですか!』と豪語したところ、
『じゃあ南場さんがやりなよ』と返され、実際にソネットとリクルートの出資で起業したという経緯からなる。

当所はビッダーズというオークションサイトを主要事業とし、現在イメージのあるモバゲータウンを開始したのは2006年である。
南場氏がマッキンゼーの同僚を取り込みスタートし、そこにオラクルなどのソフトウェア企業の出身の社員が入る構成となっている。

南場氏の著書『不格好経営』を読めば分かる通り、
現在のDeNAの構想は全くなく、ただただこれからはeコマースが来るという確信と共にスタートした企業である。
その確信はもちろん正解だったわけだが、ビッダーズは今は存在しないように経営というものがいかにスマートにはいかないか、また、上記の発言の意図が存在している。

『マッキンゼーで学んだことは1つもない』

コンサルティング企業というのは、
世界的に優秀な人材が集まるとされ、中でもマッキンゼーは同社に関する書籍が多く出るなどトップクラスの人材の集まる企業として名高い。
その業務は多岐に渡り、ざっくり言うと『企業の経営にアドバイスする』という内容である。

 マッキンゼーで働いていたときの私と、今の私は“別人”なんですよ。マッキンゼーを辞めたあとに、学んだことはたくさんあります。しかも自分の経験や失敗から学んできました。なにが一番違うかというと、アドバイザーとリーダーという立場ですね。アドバイザーというのはどんなときでも当事者ではないので、冷静に客観的にアドバイスができる。

 一方のリーダーは、客観的に物事を見ることができません。ものすごい重責の中で、正しい意思決定をしていかなければいけません。それができないと、ボクサーがリングに立てないようなもの。起業して間もないころ、私はリングに立てない状態でした。当事者になってみるとものすごく怖かったですし、ひとつひとつの出来事に対して、足が震えていたんですよ。

 それまでの私はクライアントに偉そなことを言ってきました。「こうするべき」「ああするべき」といった感じで。アドバイザーとリーダーというのは、立っている土俵が違うんですよね。なので、マッキンゼーで学んだことを、いま生かすことができないんですよ。

出典 http://bizmakoto.jp/

南場氏はこのように語り、『マッキンゼーで学んだことは1つもない』という言葉はスタートアップ業界の中では非常に有名であり、
いかに起業というものが当事者でしか分からないことであるかを語っている。

起業は当事者にしかできない

『端から色々言うのは簡単。でも実際にやってみるのは足がすくむようなこと。』
『アドバイザーとリーダーは立場が違う』

南場氏の発言を要約するとこのようなことになるわけだが、
まさにその通りで経営は机の上の出来事ではない。
様々な人間が介在して起こる物事であり、

勉強だけで経営ができるようになるというのは、勉強すれば人間を自由自在に操れるというくらいナンセンスである。

実際に自分がその立場に立たないとできないこと、分からないことがたくさんある。
南場氏が『実際に事業を始めてから学ぶことはたくさんある』と言ったように、
実際にその立場になって物事を学ぶのである。

起業とはスポーツだ

よく、起業をスポーツに例える。
机の上で全てを理解した気になっても実際にやると全く違う景色や感覚が訪れるのがビジネスの現場であり起業である。

よくスポーツの試合を見ながら、人々は『なんでできねーんだよ』とぶつくさ言うが、
それは実際にやった人間の立場にならないと分からない。
サッカー日本代表の試合を見て、『なんでこうしないんだ。俺ならこうプレイするのに』と言うのは簡単である。
同じ土俵に立ってこそやっと意味がある。

起業は必ず完璧なことなど訪れないし、
思い通りにいかないことを抱えながら行動するしかない。

起業家よ、チャレンジャーであれ

南場氏の言葉から学ぶべきことは、
常に当事者でなければ成長できない
ということだ。

アドバイザーの立場から何を言ってもそれは当事者になった時に役に立たない。
マッキンゼーに所属し、世界的大企業に対してアドバイスを行った人間が、
『いざ起業したら何も役に立たなかった』
と言っているのだ。

どれだけ勉強しても意味をなさないと思った方がいい。
実際に企業を設立し、当事者となればその数百倍学べることだろう。

いつか起業したい
社長になりたい
経営者としてビッグになりたい

そう思った時にできることはたった1つ。
当事者となり、常に挑戦し続け自分がその中心にいることだ。
勉強などが役に立つような世界ではない。