時代はフリーランスに傾く


これからの時代、人々は個人でも働けるようになる。
フリーランスが当たり前の時代が訪れることとなるだろう。

“ノマド”という言葉

”ノマド”という言葉が、2010年頃にかけて流行ったことを覚えている方はいるだろうか。簡単に言うと『場所や時間に左右されずきままに働くスタイル』のことで、主に与沢翼氏に代表されるアフィリエイターが好んで使っていたように思われる。(与沢氏は”フリーエージェント”という言葉を好んで使い、その意味はやや異なる。)

結果としてその言葉はお分かりの通り、あまり定着しなかったのではあるが、新しい時代の働き方として好感をもたれ、なんなら世の会社員からすると憧れの的であったのではないかという風にも見られる。当然、どんな場所でもどんな時間でも自由に働け、なおかつ会社員と同等に安定的に収益が手に入るのならそれほど楽しいことは無い。
ただ、そうした”ノマド生活”は一種のまやかしであったことをその言葉の現状が物語っている。

”ノマド”は不可能であった

”ノマド”が不可能なのかというとそれはないだろう。もちろん、世の中に実際にそのような生活を実現している人間は存在する。ただし、ノマドという言葉が焚きつけられた要因は、そのような『ノマドを推奨する人々』が自身の本や、情報商材を売るためであることがあり、『ノマドなんて嘘じゃねえか!』というような一種の被害に遭った人間も少なくないだろう。
このように、ノマドという言葉が流行れば流行るほどそれを商売にできる人間の意図が介在していたことから、ノマドという言葉の魅力は急に低下したように思える。

『どんな場所でもどんな時間でも働ける』というのは一見すると非常に都合のいい話であり、それがそう簡単に成し遂げられるかというとそれはまた難しいことであることは想像に難くない。特に、日本人では『顔を突き合わせて仕事をする』習慣が根強いからまたそれが稼ぎにくくなる要因でもあるだろう。
おなじみのアフィリエイトも、流行れば流行るほどその単価は低下し、どのジャンルでも当たり前の話ではあるが簡単には稼げない。頑張ってもスズメの涙ほどの報酬にしかならないようだ。

フリーランスの時代は今きている

ここからはあえて”ノマド”という言葉は使わない。そういった都合のいい幻想により我々の意図するところの働き方が違う聞こえ方をしてしまうのだから、”フリーランス”という言葉を使いたい。主に個人で仕事を請け負う人間に対して使う言葉である。このフリーランスも先程と共通する部分では、会社に属さず個人の力で収入を得る人間であるからそううまくいくはずがないと少し頭のいい人なら予測が立つことだろう。

しかしながら、今やっと”フリーランス”の時代がきたと言えるかもしれない。ノマドという言葉に世間が浮足立ってから5年。ついに個人の力で働くことができるような時代が到来したとも十分に言えるようである。その理由はある2つのサービスにある。

『ランサーズ』と『クラウドワークス』

http://www.lancers.jp/

http://crowdworks.jp/

ランサーズに、クラウドワークス。この2つのサービスの内容はおおよそ同じだと思っていただいて構わないだろう。共に企業や個人が同じく企業や個人に対して仕事を発注することができるサービスとなっている。基本的には、webのデザイン、ライティングなどの仕事を企業が個人に対してできるだけ安価で発注したいときに使うサービスである。

2つの違いで言うと、どちらかというとクラウドワークスの方が堅くしっかりとした風土であり仕事の質は高いようだがその分、費用も高い(個人からすると報酬は高い)というように言われているが、その真偽の判断は難しくあくまでそう言われている程度に留まる。

フリーランスに『信用』という要素を付加

この2つのサービスがもたらしたことは、想像の通り仕事を個人でも請けることが出来るということである。通常、デザイナーなどが独立したとしてもなかなか仕事がなく苦境に立たされるケースは少なくない。ところが、この2つのサービスではいくらでも仕事があふれているから、そういった点をクリアできる。

ところが、さらなる魅力はそれだけではない。ランサーズもクラウドワークスも自身の仕事ぶりを発注者が納品後に評価できるようになっている。そのことによってしっかりと仕事をこなし続けてきたフリーランスは仕事の単価が上がるなどそれ相応の見返りがくるようになっている。これが非常に大きな点である。今までフリーランスはどうしても後ろ盾がないゆえに信用を勝ち取ることができなかった。それをサービスが信用をある程度担保してくれる状態になる。

基本的に、企業にデザインなど発注しても実際に請けるのは担当の個人である。だからこそフリーランスでも話は同じだ。ところが、フリーランスでは細かい点や納期遅れなどミスしたときの対応など信用に不安がある。そんな不安がランサーズとクラウドワークスで改善され、フリーランスはこれからぐっと働きやすくなるだろう。