アナ雪と言えば2014年をにぎわした大ヒット映画である。
そんなアナ雪であるがそのヒットの裏には現代に関わる人々を惹きつける理由が隠されていた。
『アナと雪の女王』の世界的大ヒット
『アナと雪の女王』が大ヒットを記録したことは言うまでもないだろう。もしかすると日本の99%はこのアナ雪を知っているのかもしれない。日本国内では『千と千尋の神隠し』『タイタニック』に次ぐ3番目のヒットを記録し、250億円を超えるヒットを飛ばした。
一方世界ではというと、12億ドル日本円にして145億円を超えるヒットであり、この数字は世界中で歴代8位にランクインしている。一時は世界歴代5位でもあったほどでいかに大ヒットを記録したかがうかがえる。
アナ雪の驚くべきまでのシンプルさ
とはいえ、アナ雪がどんな映画かというのを知る人はそこまで多くないだろう。『Let it go♪』というフレーズこそ頭に残っているものの決して全ての人がそのストーリーを見ているわけではないし、むしろこのフレーズのはたした役割は非常に大きい。
では、アナ雪のストーリーというと、今までのディズニーやジブリなどの年代の作品とは少し異なる。これらのアニメというのはおおまかに等身大の少年少女の主人公が難敵に立ち向かってそれに勝利して小さなヒーローになるということが多い。千と千尋の神隠しもそうだし、天空の城ラピュタなどもそうだ。挙げればキリがない。その他のパターンでは、トトロのような日常生活にちょっと変わった出来事があって1つ主人公が成長する、その中に不思議な生き物が味方をしてくれているという場合が多い。
アナ雪を非常にシンプルに言い表すと仲のいい兄弟が仲が悪くなったけどまた仲が良くなるというだけの非常に単純な中身になっている。そこに特別な生き物などの触媒があるわけでもないし、その変化の部分だけを切り取ると日常でしかないのだ。これだけ聞くとものすごい退屈な作品に聞こえる。
アナ雪を彩った演出力
そんなディズニー作品の中では非常にシンプルであり地味とも言えるアナ雪ではあるが、その本質にあるのは姉妹の共感するエピソードの数々なのだという。そのちょっといい話にビジュアル面の華やかさ、そして歌を散りばめたのがアナ雪である。そう、アナ雪のヒットの秘訣は物語を非常にシンプルにした上で歌の力によって装飾を施して見る者を飽きさせなくしたところにある。
近年、様々な作品やサービスは目の肥えた顧客を満足させるために数々の工夫を凝らす。ただ、それだけ努力をした作品やサービスに限ってわけの分からない何が魅力なのか分からないものになってしまうことが多い。そんな失敗とは真逆にシンプルを極め、耳触りのいいフレーズの歌で見る者を魅了したのがアナ雪と言えるだろう。シンプルであることは最大の魅力とも言うがそれを体現したのがアナ雪ではないだろうか。