リブセンスがおうちダイレクトに逆行?はたして勝つのは


リブセンスの『IESHIL』が新たなサービスをスタートした。
おうちダイレクトに代表される不動産テックとは逆行するようなサービスであるが、はたして世の中はどっちの方向に転ぶのか。

リブセンスの『IESHIL』がイエシルアドバイザーをスタート

 リブセンスは2月18日、未来型不動産サービス「IESHIL(イエシル)」(β版)で、専門アドバイザーが無料で不動産売買の基礎情報や売買のコツを伝えたり、ニーズに合った不動産会社の紹介や商談サポートをしたりする「イエシル・アドバイザー」サービスの提供を開始した。

出典 http://japan.cnet.com/

リブセンスが始めた『IESHIL』は2015年8月にサービスを開始しており、約3000万件にもおよぶ売買・賃貸履歴などのビッグデータを活用した独自のリアルタイム査定システムを展開しており、東京23区内のマンション4万件以上の物件についての市場価格や価格推移、推定賃料を公開している。この『IESHIL』はビッグデータを活用したデータベースの提供であり、現状における不動産業界の情報の非対称性の改善およびは情報のスピード性の向上を目指したものだ。

対して、この『IESHIL』で展開される『イエシルアドバイザー』は少し趣が異なる。不動産テックと呼ばれる不動産業界における流通のノンストップ化や仲介業者のITによる置き換えが進む中であえて間に余計に人を入れている形である。はたしてこの『イエシルアドバイザー』が今のITの時代に生まれた理由は何だろうか。

おうちダイレクトとは全く逆の『イエシルアドバイザー』

http://kigyo-ka.com/00313/

不動産の売買と言えば、先日弊誌でも紹介した『おうちダイレクト』が思い浮かぶ。ヤフーとソニー不動産の提携によってスタートしたこのサービスはインターネット上で不動産を売り出すことができるし、従来の両手6%ではなく、半分の3%で売買をすることが可能である。まさに不動産テックと言わんばかりの仲介業者へのディスラプティブイノベーションである。

インターネット上でできる限りの全てが行えるようにした『おうちダイレクト』に対してこの『イエシルアドバイザー』は真逆の展開である。あえて不動産会社に行く前に『イエシルアドバイザー』でアドバイスをもらうという形であえて信頼できる情報のために手間をかけるという形になっている。

不動産テックは存在するのか

消費者からすればこの『イエシルアドバイザー』の方が興味を惹くものであろう。『おうちダイレクト』は画期的ではあるが、買う側からすれば不安だ。酷い物件を高値で買わされるかもしれない。だったらむしろITの力で情報が正確に分かるというほうが助かるというのが本音であるのではないだろうか。

ただ、『イエシルアドバイザー』が業界を変えることはない。一度そこを介することになるだけで、結局仲介業者を使わないと売買ができないというわずらわしさは残ることになるだろう。仲介業者を使った時と同じ信頼感が不動産テックになければそれは進むことがないのかもしれない。

保険の窓口が高い売り上げを叩き出しているように、情報の非対称性がある不動産や金融については中立な立場でアドバイスをくれる(少なくともそのように感じられる)サービスというのは手間が増えてもなおニーズがある。しかし、そういった情報の非対称性や、不安すらもITの利便性で上回るのが不動産テックに期待されることだ。世の中は今すぐにはこうした『イエシルアドバイザー』にニーズを見出すだろうが、3年後図式は違うのかもしれない。