ザッカーバーグの語ったFacebookライブ動画が創る未来


ライブ動画にFacebookが本腰だ。
これまでのFacebookとは一味違ったサービスははたしてライブ動画の先駆けになるか。

Facebookが『ライブ動画』をより充実

世界最大のSNSであるFacebookは4月6日、誰もが動画を生中継できるサービス『ライブ動画』機能を充実させることを発表した。
特定グループに限定した配信をすることができ、リアルタイムでいいねのアイコンが流れる使用にもなっている。投稿の1つ1つが長文であることが多いFacebookではライブ感という要素はこれまで遅れをとっていた。はたしてライブ動画によって動画配信サービスやテレビなど既存勢力を動かすものとなるだろうか。

2015年8月にFacebookがライブ動画を立ち上げた際には、その内容はワンタップで生中継できるシンプルなものだった。もともとは今の『LINE LIVE』のように芸能人や報道機関だけが配信をできる仕組みだったが、2015年12月に試験的に配信可能な対象を広げ、2016年1月から段階的に世界中に拡大している。

ライブ動画の重要性とは

初期のライブ動画チームの構成はわずか十数人でしかなかった。しかし今の仕様のためのビジョンを実現するには、100人以上のエンジニアが必要だった。しかも、演算能力やエンジニアの独創性が求められる。そして、それこそがFacebookが進化してきた道だった。

ザッカーバーグは『ユーザーは、最もパーソナルで感情的、ナマ、理屈抜きの方法でコミュニケーションをとりたいようにとれるようになる』と語る。
ライブ動画の可能性は計り知れない。ユーザーは簡単に動画コンテンツを作ることができ、そのことでFacebookに流れるコンテンツが増える。現在のようなコンテンツが飽和している状態を覆すことができるかもしれない。

テレビの地方局やケーブルテレビが放映しているような映像がFacebookで簡単に見られるようになるかもしれない。ザッカーバーグは『動画の新黄金時代に入っている。今後5年を早送りしてみたら、ユーザーがFacebookで見るもの、毎日シェアするもののほとんどが動画だったとしても驚かないね』と語っている。動画の重要性はもはや語るまでもないだろう。

ザッカーバーグの見る動画コンテンツの未来

今後5年間でFacebookは動画コンテンツを広げようとしている。ライブ動画で取り込もうとする層は、常にSNSなどのコンテンツの発信源を担う若者たちだ。
ザッカーバーグは『ライブ動画は有名人向けなだけではなく、ユーザーが日々シェアしたいと思う、新しい、ナマで伝える方法だったであり、なおかつ特に若者や10代はそれを望んでいる』と語っている。

現在のソーシャルメディアにおけるトレンドの1つが高度に作り込まれたコンテンツをむしろユーザーが好まないということである。動画においてこの傾向は顕著に見られる部分である。
『ライブだから、編成できない。そのために、ユーザーはありのままでいられる。事前に完璧に準備することなんてできない。ちょっと直感とは逆だけど、加工していない、感情むき出しのコンテンツをシェアするには最高の媒体となるんだ』とFacebookのCEOは語る。

今後の動画ブームを作るFacebookの動画

ライブ動画ではタイムラグをできるだけ短くするように工夫がなされている。動画へのコメントがほぼ瞬時に表示され、中継しているユーザーがそのコメントに反応することができる。ユーザーは特定のイベントやグループに対してのみライブ動画を配信できる。視聴できる人たちが多く、誰でも見れるようだとかえって配信しづらくなる。ユーザーが普段通りに動画に登場できるような形を考えているという。

ライブ動画には新しい機能がある。ライブマップがあり、世界のどこでライブ動画が発信されているかが示されている。円が表示され、その大きさが見ている人の数の多さを表している。
検索機能もあり、世界で注目が集まっていたり、興味のあるトピックに関連したりするライブ動画をレコメンドする機能もある。
『すごいね』アイコンや怒った顔の『ひどいね』などユーザーはリアクションをでき、それが動画上に表示されることで相互的なものになる。

Facebookの狙う市場はテレビ

Twitter上のPeriscopeでも、Buzfeedでもライブ動画を取り入れている。しかし、大きく違うのはFacebookはすでに世界一のユーザー数を持っているということだ。一般のユーザーはともかく、芸能人や報道機関にとっては多くのユーザーに対してリーチできることは非常に重要である。

ライブ動画では今までのコンテンツとは違ったものが流行るようだ。BuzzFeedでは共和党の討論会の最中ずっとプチプチをつぶし続ける人の手元をアップで写した動画が人気になり、75万人近くが見ている。
Facebookはテレビの市場をすでに狙っている。テレビとFacebookライブ動画でリーチできる層は同じになるだろう。SNSから世界を創るインターネットサービスへとFacebookは常に進化している。