クックパッド2代目社長の進める新たな戦略とは


クックパッドというサービスはあまりに日常に馴染みすぎている。
馴染みすぎているがゆえに企業としてその戦略が評価されることは実は少ないだろう。ところが、クックパッドの持つ戦略はビジネスにおいて非常に優位性を持っていることが分かる。

クックパッドのブルーオーシャン戦略

クックパッドと言えばなんでもレシピが見れるサイトとして市民権を獲得している。しかもそのユーザー数は月間で延べ5500万人にのぼるなど、非常に高い認知度、普及を誇る。そんなクックパッドが注目されるのはその”ブルーオーシャン”と称される市場占有率の高さである。

ブルーオーシャン

競争の激しい既存の市場をレッドオーシャンと称し、対極に競争のない未開拓の市場をブルーオーシャンと呼ぶ。
新規事業においては競争のない市場を開拓すべきだとした経営戦略であるブルーオーシャン戦略から生まれた言葉である。

ブルーオーシャンとは軒並み市場競争の少ない市場のことを指す。参入障壁が高い、もしくは先行者利益の大きい市場に対してこのような市場が形成されることが多い。クックパッドと同じようなレシピサイトを手掛ける企業を見たことがあるだろうか。競争が少ないどころかほとんど存在しないのがクックパッドのブルーオーシャン戦略の的確さを物語っている。

クックパッドの起源はレシピの記録という根源的なニーズ

実は、レシピを記録するということはパソコンが生まれた際の根源的なニーズであるという。MacbookやiPhoneを生み出したアップルの創立メンバーらが世界で初めて生まれたパソコンの用途として考えたのが”家計簿をつけること”、そして”レシピを記録すること”であったという。

もともとクックパッドがレシピを記録しておくというものにあり、誰かに公開するというのはその中でのどちらかというとオマケの部分であったという。レシピを記録するのに適したサービスがクックパッドであったということだ。そしてそのレシピをシェアすることによって、様々なユーザーに自分の料理の出来を見てもらえるという承認欲求も満たせる。

クックパッドレシピだけに留まらない

そんなクックパッドではあるが、実は2012年に創業者の佐野陽光氏から代表取締役の座を穐田誉輝氏が引き継ぎ、そこからというものレシピサイトに留まらないサービスに変化しつつある。穐田氏へのインタビューでその戦略が明らかになっている。

その1つがクックパッドの中で特売情報を扱ったことだ。レシピの中には料理を作るという過程と、そしてその材料を買うという過程も含まれている。その中で食材の価格にまつわる情報とそこから最適なレシピをクックパッドが提供する形になっている。レシピとはただそれだけでなくそうした購買につながる要素なのである。

クックパッドの次のステップはパーソナライズ

そして次にクックパッドが掲げるのがパーソナライズである。これはそのユーザーごとに最適化した情報やコンテンツを提供することを指した言葉であり、近年ではFacebookやニュースアプリなどがそうしたパーソナライズを試みている。
つまりは、そのユーザーごとに最適なレシピを提供するということだ。そのユーザーの趣味嗜好はたまた健康状態に合わせてクックパッドは違うレシピをレコメンドしようとしている。

ただ、このパーソナライズは確度が十分ではなくうまくいっていないサービスも多く、クックパッドも同様にうまくいかないかもしれない。まだまだそれが実用レベルで浸透するまでには時間がかかると考えていいだろう。

クックパッドの買収戦略

そんなブルーオーシャンを見事にものにしたクックパッドではあるが非常に速いスピードで展開を広げている。2014年にはアメリカ、インドネシア、そしてスペインの料理サイトを買収した。さらには最近ではレバノンの企業を買収するなど海外展開を進めている。日本での市場をものにした彼らは海外のブルーオーシャンを開拓しにいっているのだ。

とはいえ、これもまた日本で行ったことをそのまま単純に行うわけにはいかない。日本と海外では食文化も購買形態も異なる。今後クックパッドはさらなるブルーオーシャンを開拓することができるのだろうか。