FinTechの実現にはまだ大きな課題がある。
特に、ベンチャー企業が金融という道に進むには
ベンチャーが金融に挑む苦労
株式会社カンムという企業を知っているだろうか。2011年創業のベンチャーで、『Kanmu CLO』に『バンドルカード』という事業を営んでいる。
CLOとは、クレジットカード情報を基に、セグメント別にターゲットを絞ったクーポンをクレジトカード会員に提供するサービス。バンドルカードは、クレジットカードと同じように使えるプリペイドカードである。
しかし、金融という領域ゆえの苦労がこれまでにあったという。(『3人の開発チームで、Fintech事業をどう作る?最小構成のチームで挑む、その戦略とは』参照)
バンドルカードとは
バンドルカードはVisaの加盟店で支払いができるプリペイドカードで、ネットでのみ用いる専用のバーチャルカードと、ネットでもリアルのお店でも使える通常のプリペイドカードと使い道は変わらないリアルカードの2つのカードから選択して発行することができる。
クレジットカードは料金が後払いのため審査を必要とするが、プリペイドカードの場合は先に入金して使うため、スマートフォンアプリをダウンロードするだけで数分でプリペイドカードを発行することができる。今までクレジットカードを使っていなかった若年層でもすぐにプリペイドカードを取得できるとい。
金融事業に必要なパートナー
金融の事業において、自社だけでは賄うことはできず他社と組む必要がある。プリペイドカードを作ろうとするとカード番号を発行する必要があり、Visaから直接カード番号を発行してもらうためには数十億がかかるという。株式会社カンムの場合は、Visaからカード番号を発行されていて、かつその番号を貸してくれるカード会社を探したという。
さらに、プリペイドカードを作るためには高度なシステムも必要である。システムが決済の通知を受け、カード残高から決済額を引いて、レスポンスを返す。これを数秒以内に収めなければならないという制約があった上で、Visaの許認可も必要となると当然ベンチャーだけでなんとかなるわけではない。
FinTechへのハードルは高い
このように、事業を始める段階ですらこれだけの手間がかかるということが分かる。そしてそれはどの会社にでもできることではない。道半ばでFinTechへの参入をあきらめざるを得なくなった企業もあったことだろう。
スタートアップの中でFinTechを手掛ける企業はそう多くはないが、これにはそうしたハードルの高さが起因していることが分かる。FinTechを進めるにはスピードの速いベンチャー企業の力が必要不可欠だが、その一方でハードルも高い。