音楽データがブロックチェーンで流通する未来


ブロックチェーンの出番は通貨だけではない。
音楽データもブロックチェーンで流通させることができるという。

ブロックチェーンで音楽を流通

今、音楽業界で非常に面白い取り組みがなされている。それが、ビットコインなどに用いられるブロックチェーンを音楽の流通に用いるというものだ。音楽ファイルの中に権利者やその間での収益の配分などの情報を全て埋め込んだフォーマットの利用が提言されている。

ブロックチェーンの特徴は、中央管理者がいなくとも通貨の移動をできるというもので、一般的に情報を一元管理することで信頼性を担保しているが、ブロックチェーン上では台帳が参加するコンピュータ間で分散的に保持されている。

通貨はただのデータである

この場合の、ブロックチェーンにおいて重要な通貨は、ただの数字だ。つまり、データである。日本円など多くの通貨は実在する紙幣や貨幣などを前提にして実在するものを用いているが、ブロックチェーン上でのその存在はただのデータである。数字が増えたり減ったりすることで取引をする。

これは、当然音楽のデータにも応用することができる。
『PledgeMusic』創業者のベンジー・ロジャースの提唱する『dotBC』はすでに今年2016年8月にα版がリリースされている。

dotBCの仕組み

音楽における権利や金の在り方は非常に曖昧で脆弱性のあるものだ。音楽のデータはそれを手にした誰でも他の人間に送ることができるし、違法であるということに目をつぶれば販売することすら可能だ。あくまで、法律に基づいて権利者を決めたうえで販売やデータの流通を行っているにしか過ぎない。

dotBCは『音楽エコシステムのための脱中央的な相互運用性を実現するオープンなフレームワークを設計・開発すること』をゴールにしており、dotBCでは、音楽ファイルにMVD(Minimum Viable Data)と呼ぶメタデータを埋め込む。MVDにはあらゆるデータが記録される。それは、作詞・作曲、演奏、さらには権利者などのデータだ。またここには、権利者間での対価の分配比率や特殊な条件などを『プラグイン』と呼ぶ形式で追加していくことができる。

これによって、音楽が流通するたびにあらゆる権利者への対価が自動計算され、フェアトレードが実現される。非常に透明性の高い取引であると言えるだろう。
すでにUjoMusicやPeerTracksといったスタートアップがそれぞれブロックチェーンを使ったソリューションを作り出している。今後、ブロックチェーンを用いた音楽データのフォーマットは常識になるかもしれない。