なぜロイヤルホストは24時間営業を廃止したのか


ロイヤルホストが全店にて24時間営業廃止し話題となりました。
ではなぜ全店廃止へと至ったのか、これからファミレスや飲食業全体はどのように変わっていくのでしょうか。

2011年から深夜営業をやめる店が続出

ロイヤルホストでは2011年から地方店舗の24時間営業が少なくなりました。2016年、最後に残った大阪と東京の二店舗の深夜営業廃止までの間、五年かけてだんだん減らしていきました。なぜ2011年から減っていったのでしょうか。

人材の売り手市場が関連

有効求人倍率を見ていきましょう。
2008年のリーマンショックを受け0.4倍まで落ち込みましたが2011年には0.8倍、そして2014年には1倍を超えるまで回復しています。2016年現在、人材は売り手市場となりアルバイトを雇用するのが難しくなっています。そのため求人数が過去に比べ上昇しています。それに加え近年よりコンビニ業界が拡大したことにより飲食店とコンビニの間でアルバイト人材の獲得競争が激化しています。

そのため深夜まで営業できる人員が足りない&人件費の高騰により深夜営業のコストが高くなり、店にとってあまり利益にならなくなったと言えるでしょう。

出典 年収ラボ

24時間営業を続けるとどうなるか

24時間営業を続けて業績が悪化した店の例として牛丼チェーンのすき家が挙げられます。すき家ではワンオペの深夜1人体制を取った結果、強盗の被害が増え、従業員の過酷な労働環境から辞める人が続出し、大規模な休業ラッシュが続きました。これを受けたすき家では人員確保のためバイト自給を上げ人件費を高くすることで解決しました。このように24時間営業では、店長のみでは管理が行き届かず従業員の不満が積もりかねません。やがて爆発し大量に辞める人が出るリスクがあります。

雇用の為の求人募集への費用より、従業員を定着させる方がコストが安く済みますから、今回ロイヤルホストでは24時間営業廃止へと繋がりました。

ロイヤルホストのブランドイメージとは

こうした例を挙げても都心部などは夜間でもお客が入りますので深夜営業を続けてもいいはずです。そうしなかった理由の一つにブランドイメージがあります。
ロイヤルホストはプチ高級感を意識させることでファミレスでありレストランでもある雰囲気作りをしています。深夜、早朝をやめる分、来客が多い昼や夕食の人数を手厚く配置する考えとあり、これまで深夜に回していた人員分を昼に回すことでより手厚いおもてなしをすることを重視しています。

また深夜の営業コストを削ることで昼間のサービスの拡充も狙えるため、ロイヤルホストのレストラン機能としてのイメージを重視しています。深夜に来る客層としてはお腹が空いたらマクドナルドや牛丼屋に行けばいいですし、長居をしたいならガストなどより安いファミレスに行けばいいだけです。ロイヤルホストのイメージと深夜の客層需要があまり一致しないため、差別化を図る上でこれは正しい選択と言えます。

これからのアルバイト雇用問題

少子高齢化が進み人材の確保が更に難しくなるでしょう。これを解決するにはシニア層や外国人の労働者を増やすしかありません。企業側としては二極化が進みます。これまで以上に人材を手厚く保護し定着させて鍛え、自給を高くする代わりに質の高い労働力を求めるか、あるいは機械を導入し自動化することで最低限の人材で回すことにするか。どちらも良い点はあるでしょう。

ブラックバイトで命を擦り減らすことはこれまで親や国がかけてきた教育コストを無駄にする社会悪ですから、こうした取り組みから改善されることはとても良い機会です。

労働者と消費者の関わり方

24時間営業が本当に便利なのか、そもそも利便性とは何なのかを根本から考え直す必要があります。労働者と消費者、相互に快適な環境を作るのが真に社会的に利便性があると言えるのではないでしょうか。

このニュースからマネジメントへの考えを改める経営者が増えることを願っています。