社長がやるべきことは「社長の仕事」だけ


社員に求められる仕事と社長に求められる仕事は全く違います。
社長が社員の仕事をしてしまうという会社がありますが、会社の長である社長が社長の仕事をしなくては会社は回らないのです。では、社長の仕事とはいったい何なのでしょうか。

成功する社長と失敗する社長の違い

成功する会社と失敗する会社の違いの一つとして、社長が社長業をしていないという要因が挙げられます。
たとえば、起業したばかりの社長はとにかくやるべきことがたくさんあり、社長の仕事と社員の仕事が明確になっていない状態のままだったりします。だから、社長自身が積極的に現場の先頭に立ち、社員とともに作業をすることがよく見受けられます。社員を先導して同じように仕事をこなすので社員との距離が近く、社員のためによく頑張っていると言われたりするわけです。

しかし、こういった事態は独立してまもない頃で会社の規模がまだまだ小さい時ならばいいですが、会社が成長しある程度の規模になったら変わらなくてはいけません。なぜなら、社長が社員と同じ仕事をしているということは社長にしかできない仕事に時間を割けていないということだからです。社長は社員でもできることではなく、社長にしかできないことをやるべきなのです。社長が社員と同様に労働集約的に働いているということは、会社を現状から発展させることは難しく、社員の給料も変わらないままでしょう。これは社員にとっても不幸な状態と言えます。

社長の仕事は船の船長に似ている

よく、経営者の仕事というのは船の船長に例えられます。船長は船の持ち主(=株主)の利益のために、船(=会社)の行き先を決めて、目的地まで船の舵をとっていきます。航海前には、目的地にたどり着くた目に必要な、船員(=社員)や燃料や食料(=資金)を用意します。

船長は、海図や地図などから情報収集を行い、海流や天気(=社会や市場)を理解した上で、その変化に対応して、最適な航路(=戦略)を取らなければなりません。航海というのは、海がいつも穏やかとは限らず、荒々しい海の時こそ、冷静かつ的確な船長の舵取りが重要になります。船長が判断を見誤ると船はすぐに傾きます。さらに、長い航海の途中で食料や燃料が尽きないように中継地点で補充する必要もあるでしょう。

また、船長たるもの重要なのが船員への指示出しです。船長一人の力では船を動かすことはで来ませんから、船長は船員に役割を分担して航海を進めます。船員にはどこを目指しているのか、どう進めていくのか、誰が何をどうやってやるのかを共有し、仕事を与えます。
そして、目的地にたどり着くことができれば、航海によって得た資金と信用を元に船を一回り成長させ、新たな航海に旅立つことができるのです。

社長の仕事とは

社長というのは経営者です。社長は会社の経営をしなければならないのです。経営者の仕事をしなくては会社はうまくいきません。では、会社の経営とはなんでしょうか。「営業」を例に、経営をしている会社と経営をしていない会社を考えてみましょう。

経営をしていない会社でよくありがちな例が営業畑出身の社長の会社です。社長自ら営業するために走り回っているパターンです。彼は優秀な営業かもしれませんが、優秀な社長とは言えません。
営業というのは仕事の役割の一つであり、営業マンは1プレーヤーにしか過ぎません。社長も営業マンということは、マネージャーがおらずプレーヤーしか存在しない組織だということになります。サッカー選手はいるけれど、監督がいないサッカーチームと同じです。現在の会社の規模のままで構わないのであれば、そのままでもいいかもしれませんが、もっと大きな会社に成長させていくためには、社長自身がきちんとマネージメントしている組織を作り上げなければなりません。

とはいえ、営業というのはセンスだから自分がやらないとどうにもならないという人もいます。しかし、センスという言葉を使うということは自分の営業ノウハウを言語化できておらず、他の人に教えることができないと言っているようなものです。つまり、社員に営業という仕事を割り振り、教育し、管理することができないということになります。やるべき仕事をそれぞれの役割の人がきちんとこなすことで、会社という仕組みが円滑に機能するのです。

一方で、経営をしている会社は社長にしかできないことに時間を使います。営業ノウハウを体系化し、誰でも営業を身につけられるような仕組みを作ります。つまり、営業ノウハウを共有することで自分の分身を作るのです。分身が作ることができれば、社長は営業をやらずに経営の仕事に時間を使えるようになります。このように、仕組みを作り、仕組みが円滑に回っているか管理することが社長がやるべきことです。

社長がやるべきことは仕組みを作っていくこと

社長は、現場の最先端に立って会社を引っ張っていくという考え方から仕組みを作って会社を経営していくという考え方に転換しなければなりません。

仕組みとは、属人的なものではなく、誰がやっても同じように成果を出せるシステムと言い換えてもいいかもしれません。たとえば、人材を採用する時に面接官の感覚で受験者を判別している場合、判断基準が明確でないため、良い人材を安定して採用することは難しいです。面接官が優秀で良い人材を採用できている時はいいかもしれませんが、採用する人数が増えたり、面接官を担当する社員が辞めてしまったら、大きな問題になります。そうなる前に、会社として人材を採用する基準や面接の進め方などを明確にして、誰がやっても同じように成果を出せる仕組みを整えておく必要があります。一度、優秀な人材を採用できる仕組みを作り上げてしまえば、属人的な仕事から脱却して、かかるコストを低減できるのです。

仕組み化するというのは自動化するということであり、低いコストで高いパフォーマンスを発揮するということでもあります。社長になれば、やるべきことというのはいくらでも増えていきます。いかに努力をしなくても仕事を回せるかを考え、最初は社長自身が直接的に行なっていた業務も徐々に仕組みを作って間接的に行えるようにしていくべきなのです。

このように、仕事を仕組み化していくことで経営が安定していきます。さらに、仕組み化が進めば、社長は誰でもできるような業務に気を取られることなく、会社の将来のために戦略を考えることができます。仕組み化によって、経営が安定するだけでなく会社を成長させることができるのです。

社長は社長業をやる

社長が目の前の仕事のために必死に働いている会社はある程度までは成長できても、大きく成長することは難しいです。社長が会社にいなかったとしても仕事が回るような仕組みを作っていく、それが社長の仕事です。