『amazon go』で世界中の店舗の人件費が消滅か


世界を驚かせた『amazon go』の発表。
そしてさらには大幅な人件費の削減の試算が出ている。世界中の店舗を持つ小売の人材が大幅に減るかもしれない。その日はもうすぐそこまできている。

『amazon go』で大幅な人件費削減へ

手にとった商品をそのまま持ち出せるレジなし店舗『amazon go』は、今年2017年アメリカシアトルに出店予定となっている。本誌でも紹介した通り(『レジなし無人で買い物が可能に、amazon goが誕生』)、大きめのコンビニといった装いである。
その内容は以下の動画から見ることができる。

そして、最近の報道によるとamazon goは、世界中の店舗にかかる人件費を削減できる可能性が出ている。
amazonの構想は2000店舗に及び、その中には大規模なスーパー型店舗に広がっているという。

報道によると、床面積1万~4万平方フィートのスーパー型の店舗をアメリカ全土に展開する構想があり、そのスーパーの運営には3人~10人ほどしか必要ないのだという。平均的なamazonのスーパー型店舗運営に必要な人数は6人であり、マネージャー1人、棚の補充1人、ドライブスルーウィンドウ2人、商品の袋詰め補助2人となっている。

amazon goは異例の利益率20%を視野に

amazon goのスーパー型店舗は2階建てで、1階は商品を販売するスペース、2階はロボットが棚から商品を集めるスペースとなるようである。こうすることで、1階の品揃えは4000アイテムほどであるのに対し、2階は1万5000~2万アイテムほどをぎっしり並べておくことができる。たったの6人でこれだけの商品を扱うことができるとは驚異的なものである。比較対象として、セブンイレブンの1店舗あたりのアイテム数は2900ほど。

amazonはロボットを駆使することによって、営業利益率20%以上を見込んでいるという。アメリカの一般的なスーパーでは、年間売上200万ドル規模で平均89人の人を雇っており、営業利益率は1.7%が平均だという。その10倍以上をamazonは弾き出すことができることが分かる。

大きな期待がかかるamazon go

ECにおいて世界で圧倒的なシェアを誇るamazon。サイトの利便性は楽天などと比べると非常に高く、発注して次の日には届くというユーザー体験の高さでインターネットの買い物は全てamazonで済ませるという人も少なくはない。

また、amazon goにはレジがないという大きな利便性がある。今の世の中では決済をキャッシュレス(スマホやクレジットカード、SUICAなどのICカード)で進めることが進んでいるが、amazon goはそのさらに先の決済が必要ない(厳密には何もしなくても商品を手に取って出れば勝手にされる)という仕組みである。

ユーザーにとってもレジに並ぶという手間がなくなることは極めて利便性が大きく、そういった意味では消費者からすれば通常のスーパーやコンビニよりも値段が高くてもamazon goで買い物することを選ぶかもしれない。世界中でamazon goが普及する可能性も高そうだ。

amazon goもシェアをとりにいく戦略か

ここに至るまでの、amazonの戦略というのは赤字が出ようとも徹底してシェアをとりにいくものだった。これは、amazon goについても同じことが言えるのではないだろうか。インターネット企業でありながらも在庫を抱え、巨大な倉庫を建築したのもその表れだろう。今ではamazonに流通の面で追いつける可能性のあるECは世界の存在しない。あえてリスク(在庫や倉庫)を抱えることで他社が真似できないバリュー(次の日にすぐ届く)を生み出している。

amazonは四半期で1000億円程度の利益を生み出しており(『amazonの第2四半期決算は圧倒的な増収』参照)、大きな黒字が出ている。この収益を使ってamazon goをアメリカ全土に広げていくことが予想される。

世界中の書店からamazonに変わったように、世界中のスーパー、コンビニがamazon goに変わるのはもはや自明なことのように思える。スーパーやコンビニ、薬局などの店舗で働く人の数は半分以下になるかもしれない。世界中の店舗で人件費が減る時代はもうそこまできている。