ビリギャルが教えてくれた消費者を動かす条件


「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40 上げて慶應大学に現役合格した話」
が映画化されるなどとてつもないヒットを飛ばしましたが、
これには企業が学ぶべき要素がたくさん詰まっています。

ビリギャルは名門愛知淑徳のビリギャル。

女性が通っていた中高一貫校は、名古屋では”御三家”と呼ばれるお嬢様校、愛知淑徳学園とみられ、ビリと言っても”進学校でビリ”なだけで、もともと学力が高かった可能性があります。

出典 http://news.line.me/

名門校でビリだった少女が慶応大学に合格したらしい。
世間のイメージとはこの時点でズレがある。

映画「ビリギャル」のPRイベントにモデルとなった女性本人が登場。「もう10年、ギャルじゃないし…。27歳になって、結婚もしました」と現状を明かしました。

出典 http://news.line.me/

ビリギャルの表紙を本物のビリギャルだと思っていた方も少なくないだろうが、
あれは「石川恋」という「JELLY」のモデル。

揚げ足をとるようだがビルギャルの真相は…

(愛知の名門新学校で)(英語はもともと得意だったものの)学年ビリのギャルが1年で(厳密には1年半だが)(校内)偏差値を40 上げて(英語、社会1科目、小論文で受かる)慶應大学(の中でも一般的な慶應大学のイメージとは違うSFCの比較的簡単な学部)に現役合格した話

これが実はビリギャルの正しい真相である。
夢のない話だと思うかもしれないが、現実にはもっと大きな逆転劇もある。
学年ビリの人間が(とは言ってももちろん名門校でのだが)東京大学に受かるケースだってある。
今回のものはあの表紙とあいまって話題になっただけだ。

では、ここからが本題。
ビリギャルには消費者にヒットさせる多くの秘訣が詰まっている。

消費者はステレオタイプとのギャップを求めている。

まず、消費者は普通のことなんか目を向けない。
日々、新しい刺激を求めているのだ。

それは今まで自分の持つステレオタイプ(固定概念)を覆すような要素を求めているのだ。
学年ビリの人間が東大に受かった、では全くヒットしなかっただろう。
ギャルでしかも学年ビリという『勉強のできなそうな匂いのプンプンする』ケースであったからこそヒットした。
その上であの表紙のモデルが売り上げに非常に大きく貢献したことは言うまでもない。

いかにも勉強ができなそうなモデルが登場し、
『えっ、ほんとに?』と思わせた時点で勝ちだ。

ギャップとは言葉だけでなく、
イメージで作り出すものだ。
ピンポイントでイメージと合う画像があると人は引き付けられる。

消費者は希望を求めている。

消費者はギャップだけでなく、
『こんな子でも慶應に受かるだから私もいいことあるかも!』
という希望をこの作品からもらった。

言い方は悪いが、
この作品は成功者にはウケないだろう。
むしろ成功していない社会的弱者にウケる。

自分以下に見えるような人間が成功している姿を見て、
消費者は自分になぞらえ希望を抱く。

消費者は細かいことなんか気にしない

学年ビリって本当に勉強ができないのだろうか?
名門で有名な灘高校は1学年のうち6割以上が東大京大に合格する。
最も低い進学先で日本大学の医学部だったという話もある。
どこか1期間でビリをとったことのある生徒が東京大学に合格するのなんていくらでもあるし、東京大学理科3類もありえるのではないだろうか。

ただし消費者はそこまで気にしない。
有名な言葉に、『消費者は自分の見たいように物事を見る』という言葉がある。
名門校のビリだったとしてもそれは面白くないから、ものすごい勉強のできない子だったんだろうなという自分の見たい姿に解釈するのである。

細かいことはビジネスには必要ない

以上のようなカラクリでビリギャルはヒットした。
だが、勘違いしないでほしいのはビリギャルを批判するつもりは毛頭ないということ。
むしろありがちな材料をここまでうまく商品にしたことについては素晴らしい戦略だったといえる。

ビリギャルの出身校がどうとか慶應の科目がたった3科目しかないという細かいことはビジネスにはいらない。
どのような形であり、消費者を喜ばせればビジネスは成り立つ。
むしろそちらに力を割いた方がいい。

今回のヒットには非常に多くのヒットの秘訣が詰まっている。
ぜひとも参考にして頂きたい。