ベンチャーキャピタルのことは知られるようになってはきたものの、
未だにその仕事がどんなものであるかは知られていないのではないだろうか。ベンチャーキャピタルの実態に迫る。
今やベンチャー企業とは切っても切り離せないVC
前回、ベンチャー企業の躍進、上場にはベンチャーキャピタルが大きく関与していることについて触れた。今後もベンチャーキャピタルの勢いは加速していき、どんどんとこれからも投資額は増えていくことだろう。
今やベンチャーキャピタルなしでは起業、ベンチャー企業は語れないものとなっている。
ベンチャーキャピタルの役割はお金を出すだけではない
ベンチャーキャピタルと言うと、ただのファンドのように思われるかもしれないが実はもっと企業の経営に近い部分で彼らは活躍している。
その業務は様々であり、全ては投資した企業に成功してもらうためである。そうした部分においては、”成功する企業に投資する”一般的なファンドに対して、ベンチャーキャピタルは”投資した企業を成功させる”というような形を持っているようにも見える。
下記の記事で、ベンチャーキャピタルの仕事について『有力ベンチャーの巣窟?シャレー渋谷がアツい!』でおなじみの佐俣アンリ氏が語っているのでそのうちから気になった部分を抜粋してみたい
ベンチャーキャピタルと編集者は似ている
佐俣氏は、ベンチャーキャピタルは編集者に似ていると語っている。
たとえば編集者とベンチャーキャピタルってとても似てると思っています。著者は自分がこれから書こうとしている本が売れるか不安じゃないですか。そこで担当編集者が「大丈夫、これはニーズがありますから」って言ってくれると嬉しいですよね。
僕はコルクの編集者・柿内芳文さんが大好きなんですけど、あの人が著者の能力を見出して、この方向に才能を伸ばそうと考えるところは、VCが人と市場を見る感覚と同じだと思っています。「嫌われる勇気」という本は、普通だったらあまり見向きもされないアドラー心理学の話を、「こう切り出したらめっちゃ売れる」みたいな市場を見ているなと。
出典 http://hrnabi.com/
編集者は作家が市場でこうしたら評価される、つまり売れるという見方をしてそれを実現するが、ベンチャーキャピタルは起業家がこうしたら市場で評価される、つまりは利益を上げられるという見方からそれを実現する。さらにはそれに必要な資金を投資するという形になっている。
その中で、『お前は大丈夫だから』と言い続けることが大事であるという。
インターネットの時代において、かかる費用などサーバー代くらいのものだ。飯を食って仕事をしていれば一生生き続けられる。ところが、心が折れたり体調を崩してしまうとどうしようもなくなる。だからみんなで頑張ろうとそのモチベーションだけ管理することが大事なのであるという。
ベンチャーキャピタルの利益はどのくらいなのか
ファンドって世界中の様々なファンドでざっくりした基準が決まってて、ファンド額の年間2%を管理・運営費としてもらうのと、キャピタルゲインの20%をもらうんです。これは世界中のファンドがほぼ同じです。
出典 http://hrnabi.com/
ベンチャーキャピタルの基本的な報酬は運用額の年間2%。、これに投資先の企業の株式の売却益などのリターンの20%が加わる形となっている。とはいえ、そう簡単に投資先からイグジットは出てこないから基本的には年間2%だと考えるのが妥当であろう。
5億円の資金を運用していて1000万円である。そう考えるとなかなか大変な仕事ではないだろうか。当たった時(IPOなど)のリターンはとてつもなく大きいものではあるが基本的にはめちゃくちゃ儲かるという話ではない。
そんな形で投資先の企業を支援しながら運営をしているのがベンチャーキャピタルである。参考になったであろうか。