VICEというメディアをご存じだろうか。
1994年にはじまったフリーペーパーを起源とするこのメディアは現在急成長を遂げ、注目されている。はたしてどんな企業でありいかなるビジネスを仕掛けているのか。
急成長のメディアVICEとは?
米国にVICE Mediaというメディア企業がある。1994年の創業当時はパンクやドラッグ、セックスなどのコンテンツを載せたフリーペーパーに過ぎなかったが、今では国際問題や社会問題、音楽、フード、スポーツ、カルチャーなど世界中のニュースをウェブやテレビで配信する複合メディア企業に姿を変えている。
「若者のBBC」といわれるように、最大の特徴は若者カルチャーに特化した切り口だ。
ウクライナ紛争を取り上げた一連の映像やメキシコ麻薬カルテルによる石油抜き取りを描いた「Cocaine & Crude」、バイブレーターの歴史と効果を描いた「Why All Girls Going to College Should Get a Vibrator?」、英刑務所内のイスラム教徒の実情を暴いた「What It’s Like Being a Muslim in British Prison」など、ジャーナリズムとパンクカルチャーが融合した特異な媒体だ。出典 http://business.nikkeibp.co.jp/
11月上旬にはウォルト・ディズニーによる出資が明らかになったVICE。そのことが示すように主に動画コンテンツを中心に配信するVICEは視聴数を右肩上がりで増やしている。
VICEはフリーペーパーから始まった
VICEというメディアは元は1994年にカナダのモントリオールで生まれたフリーペーパーである。当時は今のその様子とはかけ離れたパンクやファッションを扱うものであったという。2000年ごろにオンラインに進出するもその当時はまだ紙媒体が中心であった。
そのVICEが現在の形になる転機は、バグダットのバンドにフォーカスを当てた15分のドキュメンタリーをきっかけとして映画の撮影が始まった。その映画は映画祭に出展され世界中のテレビ局で配信された。撮影にあたったスタッフは3人であったが、それからは想像できないほどの注目を浴びることとなった。それから、VICEはドキュメンタリーを中心に数少ないスタッフで多くの反響を集める映像を撮るようになった。
VICEはYouTubeとパートナーシップ
2012年にはVICEはYouTubeとパートナーシップを組み、VICEのチャンネルから多くの映像を流すようになった。VICEはYouTubeをもっともうまく使ったメディアとも言われ、平均視聴時間は28分に上るなど人々の関心を惹きつけるメディアへと急成長を遂げた。
『若者』という切り口から多くの映像を提供しており、音楽、ファッション、ライフスタイル、ニュース、政治、料理など様々なジャンルが配信されている。雑誌とは違った1つの専門性にとらわれない総合的なメディアである。
VICEの年商は驚異の1200億円
そんなVICEの収益源はいたってシンプルな2つの項目で構成されている。1つはライセンスの販売、もう1つはスポンサー収入である。ライセンスの販売というのはVICEの撮影した映像を世界中のテレビ局が放送する際にVICEに払う使用料のことである。スポンサー収入とは、YouTube等で配信する動画にスポンサーを募りネイティブ動画(スポンサーにとって宣伝効果のある動画)を作りVICEのチャンネルで配信する。このスポンサー収入に関してはさしづめバズフィードと同じビジネスモデルになっている。
年商は1200億円であり、営業利益率は30~35%というのであるから、日本で同様のもので置き換えるとおおよそソーシャルゲームの有名どころくらいの売り上げと利益を誇っている。もちろん競争も激しいであろうが、ソーシャルゲームより先行きの見通しのつくモデルであり、今は3000億円ほどのVICEの時価総額はこれからも上がりそうである。