ついにはamazonも音楽市場に参入した。
先日YouTubeがその重い脚を上げたことをお伝えしたばかりではあるが、今回のamazonの参入の理由はどんなものであるのだろうか。
amazonが『Prime Musicを開始』
Amazon.co.jp(アマゾン)は18日、Amazonプライム会員向けの音楽聴き放題サービス「Prime Music」(プライムミュージック)の国内提供を開始した。Amazonプライム会員(年会費税込3,900円)であれば、追加料金なしで利用可能。
「Prime Music」は、国内外の楽曲100万曲以上が聴き放題となるサービス。iOS/Androidの各種端末、Amazon Fire TVおよびFire タブレット、PCブラウザから利用が可能。
出典 http://news.biglobe.ne.jp/
今年9月に動画サービスを発表したamazonが新たなサービス『Prime Music』を発表した。名前の通り、音楽が聴き放題となるサービスであり、先日の『YouTube Music』に引き続きさらなる音楽ストリーミングサービスのリリースとなる。
amazonの『Prime Music』における意図とは
気に入った楽曲をプレイリストに追加することもでき、音楽をオフラインでも視聴できるような機能はその他の音楽サービスとなんら変わらない。音楽ストリーミングサービスは各々が特別な差別化をすることは諦め、今は音質、UI(使いやすさ)、楽曲数で競っている状況だ。その中でamazonは少し異質な存在と言えるだろう。
ご存じだろう、amazonの動画サービスも今回の音楽サービスも定額のamazonプライム会員ならばサービスを無料で楽しむことができる。そういった点でAppleやGoogleよりもamazonは抜けた存在であるだろう。アメリカでは年間1万円近い費用が掛かるが、日本のamazonプライム会員は3900円の年会費によって利用が可能である。日本では特にそのお得さが目を惹く。
わずかな年会費によってamazonのお急ぎ便、日用品の宅配サービス、動画サービスの『プライム・ビデオ』、音楽の『Prime Music』という豊富なサービスが利用できるとあっては他のサービスとは少し違った規模を誇っている。おまけに他のサービスは動画でも音楽でもそれだけでamazonのプライム会員と同じ価格がかかる。
amazonプラットフォームに人は引き込まれる
近年、様々なITサービスの乱立は人々を興奮させるのと同時に人々を煩わせている。あまりに多くのサービスがありすぎるがゆえにユーザーは選択肢の多さに混乱している状況である。当然ながら扱うサービスの数が増えれば増えるほどユーザーはそれぞれの操作方法を覚えなくてはならなくなる。スマホに慣れ、面倒な動作をしなくなればなるほどにユーザーはこらえ性がなくなり細かい動作に対して反感を感じるようになる。
そうした現象への解決策の1つが、このamazonのように1つのブランドの中に様々なサービスを盛り込むことだ。動画も見たいし音楽も聴きたい、でも面倒くさいのは嫌だというユーザーは年会費3900円であらゆることができてしまうamazonのとりこになることだろう。同様の形を実現している中にはLINEが挙げられる。LINEは年会費や月会費のサービスは音楽を除いて存在しないが、LINEという誰もが使うメッセージアプリから発する枠組みの中であらゆることが行える。つい最近では、買い物をしているその瞬間にアパレル商品の情報が送られてくる事業を開始するなど、もはや生活のあらゆる局面がLINEによってまかなわれるようになるだろう。
LINEよりもその吸引力という意味ではamazonがリードしているのかもしれない。LINEのような生活の中に馴染むようなスマートなサービスというよりも、amazonはシンプルに買い物に動画、音楽というコンテンツに絞っている。リフォームや旅行、不動産をはじめとした様々なものが買えるようになっていることを今年夏頃にはお伝えしたが、現在はamazonのプラットフォームの中でユーザーを満足させてしまって『amazonがもういいや』とばかりに引き込んでしまうことを目論んでいるようだ。今後それぞれのサービスの直接のシナジーがあるかどうかは未定ではあるが、amazonは着実にユーザーを囲い込むことに成功するだろう。