DeNAのキュレーションプラットフォームに注目すべき理由


DeNAのキュレーションプラットフォーム『Palette』をご存知だろうか。
3つの買収を経て展開するキュレーションメディアのプラットフォームには大きなシナジーが秘められている。

MERYのCMが好調

mery cm
出典 http://www.fashionsnap.com/news/2015-12-17/mery-rola-cm/

このCMを見かけた人は多いのではないだろうか。人気モデルのローラを起用したMERYのCMである。MERYとはキュレーションメディアであるが、DeNAに買収されたことでも知られている。MERYとiemoが合計50億円で買収されたのは2014年10月1日のことであったが、それから1年間してCMをうつほどまでのレベルに成長した。

MERYは女性向けの美容やファッションなどに重きを向いたキュレーションメディアであり、買収額は単体で言うと35億円と言われている。DeNAに買収されたが経営陣は変わらずそのままの体制のままDeNAグループ入りした形だ。CMの甲斐あってかAppStoreのランキングでは1位を狙える位置まで来ている。

MERY他キュレーションメディアがDeNA入りした理由

DeNAはMERY、iemo、FindTravelの3つの媒体を買収している。その後7つの媒体をリリースし、現在では10のメディアを保有してキュレーションプラットフォームとしているが、はたしてキュレーションメディアが買収される理由、DeNAが自社でメディアを作らずに買収を行った理由はどこにあるのだろうか。

メディア側にとっての利点はDeNAグループであることによってそのリソースを使うことができるということだ。MERY、iemoともに直近の決算では赤字を計上しているもののDeNAグループであればそういった金銭的な心配は少なくて済む。さらにはDeNAの優秀なスタッフがメディア側に加わること、様々な経験を持った経営陣がベンチャー企業にジョインすることは非常に大きなメリットがある。

そして、DeNA側にとっての利点はシンプルで、キュレーションメディアの運営に長けた人材を取り込むことができるということだ。現在はDeNAにおいてキュレーションプラットフォームの統括をしているのはiemoの創業者である村田マリ氏であり、その他MERY、FindTravelを立ち上げた人材もその他の7つのメディアの立ち上げにかかわっているだろう。そうした人材やノウハウを吸収するためにDeNAはこの3つのメディアを数十億円をかけて買収したと言える。

メディアの新たな形を示したDeNA

DeNAグループの展開する10のメディアはそれぞれバーティカルメディアと呼ばれる。バーティカルとは垂直を意味し、狭く深いジャンルに絞ったメディアであることからこう呼ばれる。反対はジェネラルメディアであり、これは広く浅いジャンルを扱うヤフーニュースやネイバーまとめのようなジャンルを限定しないメディアを指す。

例えば、iemoはその名の通り”家”に関することを扱うキュレーションメディアである。インテリアやリフォームなどに関するジャンルを網羅しているメディアである。DeNAはそれぞれのメディアを別々に運営していて、それぞれが密接にかかわることはない。10のメディアがあれば10のジャンルでそれぞれユーザーを押さえにいく。
その上でメディア部分から発展したサービスについて共通のプラットフォームとして展開することが予想される。例えば、MERYを通して美容院を予約した経験があれば、他のFindTravelを通して旅行を予約する際に個人情報を登録する必要がないなど。こういった垂直なメディアが横並びで連携をとることができる。

キュレーションプラットフォームの未来とは

先ほど挙げた予約システムの統合についてはまだキュレーションプラットフォームで実施はされていない。とはいえ、それぞれのメディアで確実にシナジーが起こるだろう。1つのアプリケーション内で10のメディアを簡単に見れるようになれば、ジェネラルメディア以上にトラフィックの集められるメディアに進化する可能性もある。

今後それぞれのメディアでは動画コンテンツが増えていくだろう。2016年は動画元年とも呼ばれるほどに動画コンテンツが普及する年になるとも言われている。キュレーションプラットフォームは今後さらなるサービス構成を見せること間違いない、要注目である。