ソラコムが24億円を調達して全世界同時展開その勝算とは


ソラコムの挑む世界はIoTだ。
これまで大きな注目が向けられ今後飛躍を期待されるモノのインターネット化。それを実現するソラコムの勝算とは。

IoTの未来を担うソラコム

株式会社ソラコムという企業の行っている事業『ソラコム』は今後のIoTの未来を担っているのかもしれない。サービスとしてのソラコムはMVNO、つまり仮想移動体通信事業者である。格安SIMのイメージが強いMVNOではあるが、ソラコムの場合、これをあらゆる機器に接続する。
例えば、タクシー内にタブレットを置き、車内広告を配信する、建設機器からクラウドにデータを送信し、いつでも状況を確認できるなどの用途が存在する。

それらにソラコムが一躍買っている理由は、IoTないしはM2M(Machine to Machine)に適したデータ通信が可能になるということだ。従来のMVNOは当然ながらスマートフォンやタブレットなど人間が使うことを前提とした料金体系になっており、データ通信を行うデバイスが数億となるIoT社会ではこのシステムはとても受け入れられない。IoT社会で冷蔵庫の調味料の減り具合を教えてくれるようになったとしても醤油で月2000円、酢で月2000円とかかってしまったらキリがないだろう。
ソラコムは、それをIoTやM2Mに適した料金体系、通信体系で提供してくれる。

ソラコムは24億円を調達し2000件の利用者数を誇る

また、ソラコムは2016年5月11日、World Innovation Lab、Infinity Venture Partners他を引受先とする第三者割当増資の実施を発表し、シリーズBとなるラウンドで調達した資金は総額で24億円にも及ぶ。
2015年3月に創業し、同年6月には総額7.3億円の資金を調達し、2016年9月30日に初のサービス『SORACOM Air』を公開したソラコムは、サービスを増やしながらも、2016年4月末時点で利用者数は2000件を超えている。

ソラコムが登場した際、MVNOでありながらまるでAWS(Amazon Web Service)のように様々な操作が可能であり、WebブラウザによるユーザーコンソールおよびAPIを利用して、ユーザー側でデータ通信の開始、休止や再開、通信速度の変更、オンライン、オフラインといった通信の状態、データ使用量の監視を行うことができる仕組みは称賛を浴びた。
このビジネスは、通常のMVNOとは異なり、かなりの量の事業者が利用することでしかビジネスが成立しない。今後IoT時代が進むことを予見した上で長期的視野でビジネスを行っているのだろう。

ソラコムが目指すは『モバイルのクラウド化』

しかしながら、ソラコムの壁は大きい。彼らの目指す『モバイルのクラウド化』を実現するためには各国で通信キャリアとの交渉を行い、MVNOを実行する必要がある。日本では、NTTの保有する回線を利用することで成り立っているが、それがあらゆる国で同様のことを必要とされる。

現在国内のチームで20名弱で運営しているソラコムは、このチームを各国で作っていくのだという。メーカーやあらゆる事業者が通信のサービスを取り入れるために、またそれが海外をまたいで行う場合、今までならメーカーが独自に各国の通信キャリアに交渉を行う必要があった。これが、ソラコムによって、ソラコムがそれを代行してMVNOとして提供することでかんたんにメーカーは利用をすることができる。

ソラコムの導入事例は非常に幅広い。決済端末において特定の日にのみ使うことで安価で通信を行うことができたり、薬剤の使用状況をクラウドで管理したり、といったまさにIoTの実現がなされている。
IoTと叫ばれてから5年ほどは経っただろうか。しかし、IoT社会は未だ実現されていない。それが、ソラコムによってあらゆる端末を管理できるように、通信が可能になることでIoTの波は世界中で起こるのかもしれない。