動画配信をディスラプトするPulitが5000万円を調達した。
はたしてどんなサービスなのか。
Pulitが資金を調達
デジタル画像のコンテンツ流通技術を開発するPulitは2016年8月29日、シードラウンドで5000万円を調達したことを発表した。このラウンドに参加した投資家は、韓国のスタートアップ向けファンドBonAngels、元クックパッドCFO の成松淳氏、フリークアウトやイグニス創業者の佐藤裕介氏、弁護士の松田良成氏、アトランティス元CTO加藤寛之氏、山口豪志氏の5名となっている。
今回の調達を受けてPulitは、同社が特許を持つ『デジタル画像に基づいた超流通システム』をベースとした、コンテンツ流通経路の開拓やサービス開発を本格化させるとのことだ。現在4人での開発体制は6人になる。
Pulitはコンテンツ流通のリバタリアン
Pulitはさしづめコンテンツ流通のリバタリアンだ。
通常、マンガやアニメ、書籍などのコンテンツの配信を行う際には、HuluやNetflix、amazonなどのプラットフォームを通して配信が行われる。そのことにより、コンテンツの制作者はプラットフォームにより流通の方法や収益が委ねられるため、イニシアチブを握ることができない。
これをコンテンツ制作者が管理できるようにしようというのがPulitの目指すところである。制作者はPulitの超流通の技術を通じて、映像などのコンテンツを管理でき、利用者がお金を払うなどの条件の場合のみ閲覧を許可することが可能になる。
コンテンツを管理する仕組み
上の画像を見れば分かるように、制作者はPulitのクラウド環境にアップロードすることで、ダイレクトアクセスリンクが発行され、ユーザーはこのリンクをクリックすることで映像を視聴することができる。また、条件に応じて動画を保存したり再閲覧することが可能になる。
制作者は、課金型の有料の動画配信が行える他に、管理ダッシュボード上のスイッチ一つで、コンテンツ単位でコマーシャルを挿入した無料での配信に切り替えることもできる。
はたして需要はあるのか
このPulitの技術は非常に便利だ。何より、今までamazonなどの事業者にしかできなかった映像の管理がコンテンツ制作者によって気軽にできるようなる。映像の配信が気軽になるという意味では非常に優れている。
では、これによってコンテンツ制作者の選択肢は増えるだろうか。そうは思えない。コンテンツ制作者はこのコンテンツをどの経路で配信するのだろうか。たしかに、固定ファンがついているのなら有料で、なおかつamazonなどを通さずに配信が可能だ。では、そのようなケースがどれだけあるかというと疑問を感じる部分もある。
流通の部分において、Huluやamazonなど数多くのユーザーを抱える媒体を通さずに配信を行うというのは非常に難しいのではないだろうか。定額が主流のサービスにおいて、コンテンツ単位で課金を行うユーザーがどれだけいるだろうか。
自社サイトなどでコンテンツの配信を行い、CMを挿入することで利益を得るのだろうか。それならば大手の動画サービスを利用したほうが話が早い気がする。
そういう意味で、ディスラプティブになるとはとうてい思えない。