孫泰蔵式、進化したVCの目指すもの


孫泰蔵氏の作るベンチャーキャピタルとは他とは違う。
この進化したVCの目指すものははたして何なのだろうか。

孫泰蔵の作るベンチャーキャピタル

有名なのは兄の方だろう。ガンホー・オンライン・エンターテイメントの創業者である孫泰蔵氏の兄は今や日本で最高の起業家である孫正義氏である。
日本最高の起業家の弟、孫泰蔵氏が手掛けるのは進化したベンチャーキャピタルだという。

2013年に立ち上げたベンチャーキャピタルの名はMISTLETOE。ミスルトウと読み、宿り木という意味である。
そこでは、医療に教育など社会的なテーマに沿って新興企業に出資を行う。孫氏は社長を務め、東京都港区には1300平米のオフィスが構えられている。

MISTLETOEの投資基準は社会への衝撃

MISTLETOEの投資基準は、社会に衝撃を与えられること。すでに30~40社に対して総額約100億円を投資しており、その元手は全て孫氏が提供したものだ。社会への衝撃を重要視しているだけあって、回収機関は通常のVCより長く10~15年に設定されている。実際に、孫氏が経営に携わるケースもあるのだという。

孫氏は、社会的な影響を考慮しない投資に飽きたと述べており、社会の問題を直接的に解決する方法に興味は向いているのだという。それを行う手段がMISTLETOEというベンチャーキャピタルなのだろう。

ベンチャーキャピタルの抱える課題

現在日本に存在する多くのベンチャーキャピタルの課題は、ベンチャーキャピタルがただの金融業になってしまっており、いかに手堅くイグジット(バイアウトないしはIPO)するかという部分にばかり目がいってしまっているということだ。当然、早く利益を出すためにはIPOないしはバイアウトするのが1番だ。それができるまでVCは利益を手にすることができない。

ただ、そのことで多くの企業は無理して早くIPOしたり、利益を出すために早い段階で収益化をするようになる。サービスの理念は薄れていき、早めにお金にする手段を考える。社会的な影響や、企業としてのビジョンを貫続けるケースはそう存在しない。

MISTLETOEはそういった意味で非常に可能性に満ちたベンチャーキャピタルだと言えるだろう。軍資金は孫氏のお金であるから、すぐに収益を出すことを迫られることはない。それに彼自身が起業家であることから起業家それぞれのビジョンを大事にすることができるだろう。こうしたベンチャーキャピタルが多く生まれれば日本から偉大な起業家が生まれる日は近いだろう。