ハロウィンが普及した本質的な理由とビジネスチャンス


ハロウィンは予想を超える盛り上がりを見せています。
今や一大イベントまでハロウィンが成長した本質的な理由とは何なのでしょうか。

ハロウィンはさらに市場規模が大きく

毎年10月31日に訪れるハロウィン。今年も渋谷を中心に街中に仮装をした若者が大勢集まり、今年からは渋谷では歩行者天国を導入するなど大騒ぎになっていました。しかも、31日が月曜日であったこともあって28日から29日、30日の土日と総勢4日間街はハロウィン模様であったと言えるのではないでしょうか。

ハロウィンの市場規模はすでに1220億円と言われており、これはここ4年間で2倍になったと言われています。バレンタインの市場規模は1080億円と言われているので、バレンタインを超えるイベントになったと言えます。クリスマスは6740億円とされており、さすがにレベルが違います。ここについては、男性が必死にいいレストランを予約したり、高額のプレゼントを贈ることからでしょうか。

では、ハロウィンはなぜここまで大きなイベントになったのでしょうか。

若者の文化として定着したハロウィン

なぜハロウィンはここまで巨大化したのか

本誌で昨年扱ったように、ハロウィン自体が日本で流行った理由はディズニーランドがハロウィンイベントをやったことからだと思われます。最近では、USJがハロウィンに力を入れており、テーマパークでハロウィンが盛り上がったのが渋谷に持ち込まれたと言えるでしょう。

そして、Snapchatに代表される大人のいない空間が若者は好きです。新橋のサラリーマンが仮装し出したら若者は一気に冷めるでしょう。若者にしか理解できないからこそクールなのです。ハロウィンが嫌いな大人は、ぜひとも来年は自分が全力で仮装して渋谷のど真ん中で叫び続けることをオススメします。きっと若者は冷めます。

ハロウィンの敷居は低い

さて、私が先ほどバレンタインやクリスマスを比較対象として挙げていたのには理由があります。若者にとって、ハロウィンはバレンタインやクリスマス以上に参加しやすいイベントだと言うのです。

バレンタインやクリスマスの主役はもちろんカップルです。恋人がいればこれほど楽しいイベントはないでしょうが、特にクリスマスは”クリぼっち”という言葉があるくらい、クリスマスは恋人がいない若者にとっては苦痛だったりするわけです。
クリスマスパーティーなる催しも、今では減少したような気がします。クリスマスにこじつけて素敵な恋人を見つけようというような空気も薄れたのではないでしょうか。

それに比べて、ハロウィンは自由です。仮装して渋谷にいけばいいのだから彼氏も彼女も関係ありません。敷居が低いというのは1つ重要なポイントになるのではないでしょうか。近年、若者は恋愛から遠ざかっていると言いますから、バレンタインなどのイベントは下降傾向にあるかもしれません。ライトに楽しむことができるハロウィンが流行ったのはそこにあります。

ハロウィンのキーは”仮装”

そして、もう一つ無視することのできない要因が、ハロウィンにおける仮装の役割です。仮装をしてしまえば、自分は自分でなくなります。つまり、仮装の仕方によっては誰だかわからなくなるわけです。
クリスマスじゃあ、自分は自分のままです。よく、アメリカの学生がプロム(原則として男女のペアで参加する学年最後のフォーマルなダンスパーティー)に向けて『俺…このプロムで変わってみせる!…』という風に意気込んでいる光景を映画なんかで目にしますが、自分のキャラクターや周りの評価はそう簡単に変わりませんし、そういう意味でクリスマスは楽しみにくかったりします。

ただ、ハロウィンは違います。普段暗い人間がめちゃくちゃはっちゃけても、踊り狂っても変な目で見られることはありません。何をしても仮装だし誰か分からないのがハロウィンなのです。本質的な人間の欲望(騒ぎたい、人とそれを共有したい、普段出せない自分を出したい)を仮装という変身によって実現するのがハロウィンなのです。

ハロウィンをさらにビジネスに

そこまではいいのですが、私はハロウィンなど仮装の舞台が渋谷などの街中やディズニーランド、USJなどのテーマパークなどでしか行われないのかが疑問でなりません。渋谷で騒いだ若者のゴミで街は汚くなり、警官を配置して多額の税金を使うのだから、それならもっとお金を落とすような形でハロウィンをビジネスにする企業が現れてもいいのではないでしょうか。

多くの来場者を裁くキャパのある場所ともなるとそれだけで限られるわけではありますが、どうせなら更衣室やロッカーがあってちゃんと着替えることのできる施設を利用する形になった方がいいのではないでしょうか。例えば、東京ドームのキャパは一般的に5万人とされており、2014年のハロウィンの渋谷に集まった人数が5万2000人とされていることからそこまで劣ることもないでしょう。(当然、2016年ではそれより増えているでしょうが。)

ただ街中でやるよりは、どこかしらの場所を開放して内装もハロウィン仕様にし、そこでもっと商売をしてお金を落としてもらう仕組みを作ることも考えていいのではないでしょうか。例えば、コミックマーケットを行っているのは東京ビッグサイトですが、1日の来場者数は20万人と言われています。もちろん、立地上の問題も加味する必要はありそうです。

ハロウィンはもっと応用できる

また、私はハロウィンが好まれる本質的な理由である”自分の顔や姿が仮装によってあまり見えなくなるから人の目を気にせず騒げる”という部分は、多くのことに応用できるのではないでしょうか。
例えば、街コン。合コンの大人数版のようなものですが、仮装を取り入れたらよりコミュニケーションがスムーズになるのではないでしょうか。草食系だなんだと嘆かれる今の時代に、仮装という変身をして勇気をつけるというのは合っているかもしれません。

サッカー代表戦の後の渋谷もそうですが、多くの人は騒げる場を探しています。声を出しストレスを発散する場を求めていても、それがなかなかできないから、みんながそうしている場所にいくのです。そういう場を作るという意味で仮装ほど力になるアイテムはないと言えるでしょう。
今後、ハロウィンのように仮装を利用したビジネスはもっと出てきていいはずです。