日本の税金は高い高いと言われ続けてきた。
それは確実に日本という国の競争力に影響している。法人税の引き下げで日本という国は経済的に発展できるのか。
法人税、17年に20%台へ
政府は企業の利益にかかる法人実効税率を今の32.11%から2017年度に20%台へ引き下げる調整に入った。政府・与党は今後数年で20%台にする方針だったが、実現時期をはっきりさせる。主要国の法人税下げ競争に応じ、黒字企業の負担を軽くする狙いだ。税収減を避けるため法人税を払わない赤字企業にも及ぶ増税を検討するが、反発も予想される。
出典 http://www.nikkei.com/
現在日本国内での法人実行税率は32.11%。日本の企業の多くは1年間の利益のうち3分の1ほどを国や自治体に納めていることとなる。これだけの金額をとられるわけで、当然ながら多くの企業にとっては痛手である。
税率の低い、シンガポールや香港では多くの大企業の誘致に成功しており経済的にも成功を収めた地域として有名である。日本の環境は非常に良く、またマーケットも非常に注目されている。そのことから、法人税の引き下げにより海外の大企業が日本に注目する可能性も大きい。
世界有数の経済都市東京
本誌のこの記事でも紹介した通り、日本の東京は世界で最も一極集中の進んでいる都市である。日本全体から見てこの一極集中がもたらす効果は置いておくとして、世界から見た時にはこの一極集中はより東京へと注目を向ける要因となっている。
世界の都市でのGRP、つまり地域総生産(国で言うGDP)では実は東京は2位のニューヨーク、3位のロサンゼルスを差し置いておよそ1兆米ドルを記録している東京が1位である。特に、3位のロサンゼルスのおよそ2倍に及ぶなど圧倒的に世界の中で東京は大きな経済規模を誇る。
つまり、それだけ東京都内にマーケットが集中しているしそれだけ大企業も東京に集まっている。地理的要因を考えるのであれば多くの企業が密集しており取引もしやすい東京はとてつもなく経済的に恵まれた都市であると言えるだろう。
東京は外資をうまく利用できるのか
法人税が下がるにつれて東京(もちろん大阪などの他の都市も)への外資の参入は増えることだろう。これ自体は外資の企業が日本でお金を稼ぐことになりうる。外資に日本が支配されてしまうかもしれないとの考えもあるかもしれない。しかしながら、東京でのサービスの質自体は外資の参入により競争が激しくなるのと比例してどんどんと上がっていく。それに、そういった考えのもとで日本という国が動いていたからこそ日本は世界的に競争力のない国に甘んじている。自分たちの身を守ることばかりを考えていた結果日本は貧弱になったのである。
日本という国自体が世界的に通用するようにならなくてはいけない。そのことと、日本に海外のリソースが入ってくることとは同義である。自身が守りに入っているばかりでは得るものがないのは当然の話だ。そして、外資が日本に蔓延した結果、日本が貧しくなるということではない。そこで生まれる雇用は日本人であるから、外資に働く日本人が増えるだけだ。結果として困る企業があるとしたらそれは経営努力を怠っているにもかかわらず競争がないことによって盤石な大企業であろう。そうした悪い意味で日本的な企業はどんどんと外資に負けていくだろう、そしてそれは少なくとも日本で働く日本人にとってはプラスでしかない(外資の方が効率的に仕事をこなすようなオペレ-ションをしているし、金払いがいい)。
日本という国が世界で通用するために
今後、日本という国からITベンチャーをはじめとして世界で通用する可能性のある企業はこれからどんどんとシンガポールや香港へと拠点を移すだろう。ITの分野はどこでも開発ができるのだから優秀な人材さえ集まりすれば別に日本国内にとどまる必要はない。シンガポールの実効税率は17%であるから、日本の32.11%と比べるとなんと15%の差が生まれることになる。これだけの差があってはたとえ土地などが高いとしても日本からシンガポールへと移転する理由としては十分であろう。
この法人実効税率が仮に25%を切るのであればその差は一桁%となることになる。そこまでいけばわざわざ日本から移転することはないかもしれない。世界で戦っていく以前に日本は日本企業にいてもらう必要がある。この法人税では決してそれは果たされないだろう。