アスペルガー症候群という才能と我々はどう向き合うか


アスペルガー症候群、通称アスペという言葉を聞いたことがあるでしょう。
そんな障害に似た扱いをされる神経発達症ですが、それは大きな才能でもあります。

東大生の4人に1人はアスペルガー症候群?

ある驚きのニュースが我々に衝撃を与えました。それは、東大生の4人に1人がアスペルガー症候群の疑いを持っているということ。アスペルガー症候群とはいわゆる発達障害の一種で、興味・コミュニケーションについて特異性が認められる自閉症スペクトラムの一種です。いわゆる“アスペ”という省略語で聞き覚えのある単語であるように思えますが、一般的には知性が劣っているというようなイメージで使われる言葉です。

このアスペルガー症候群は300人に1人が当てはまると言われています。東大生については4人に1人ということは、通常の100倍近くアスペルガー症候群は東大生になれる確率が高いということが言えます。東大生のみのデータですので、明確な自信を持って言えることでありませんが、アスペルガー症候群の子どもは勉強ができる傾向にあると言えます。

アスペルガー症候群は短所なのか

こうしたデータを見たとき、むしろアスペルガー症候群は障害でもなんでもなく、むしろ与えられた才能なのではないかという仮説が我々の頭の中をよぎります。一般的に人とコミュニケーションをとるのが苦手なアスペルガー症候群保持者ですが、それだけを見て劣っていると考えるのは間違いでしょう。そして、アスペルガー症候群はコミュニケーション能力における劣等性を示すものではありません。特異性であるわけです。つまり、300人のうちの1人のアスペルガー症候群保持者は残りの299人とコミュニケーションをとるのが苦手なのであって、アスペルガー症候群の人々の中に我々一般人が混ざったら、みんな円滑にコミュニケーションをとる中で我々だけがコミュニケーションをとれなくなるのかもしれません。

アスペルガー症候群はいわゆる変わっているだけで、何かしらの欠点を言うものではありません。たしかにコミュニケーションに苦労する様は当然のようにあるでしょう。ただむしろ、東大に合格しやすいというように、能力的に優れていることすら示しているでしょう。そもそも能力における優劣の問題ではないということに注目すべきです。彼らはコミュニケーションの仕方が特殊なだけなのかもしれません。

アスペルガー症候群の圧倒的な長所

そして、アスペルガー症候群の長所とも言える部分が、『決まった手順や自分のやり方に固執し、興味の対象が限定的である』ということです。つまり1つのことにのめりこむとひたすらにそれに執着するという部分です。
これを聞いて思い浮かぶ職業があるのではないでしょうか。それは研究者です。研究者というものは生涯をかけて一つの分野に取り組むことが非常に多いことから、それにのめりこむ人間ではないとできません。

同様に技術者もそういった側面が存在するのではないでしょうか。難しい問題に取り組む持続性が求められるわけですからこれも向いていると言えるでしょう。いわゆる東大生に見られるアスペルガー症候群は、勉強にのめりこみ、それに対して圧倒的なパフォーマンスを発揮するわけです。そう考えた際に、生かす場所さえ間違えなければ、アスペルガー症候群というのも世の中に不可欠な存在であるということが分かります。それをどう生かすかは我々次第でしょう。