医療のシリコンバレーを目指す成都市


シリコンバレーがITスタートアップの聖地であることはあまりに有名だ。
しかし、世の中には医療のシリコンバレーを目指す都市が存在する。その取り組みとは。

医療のシリコンバレー『成都市』

中国南西部にある都市『成都市』が今、医療のシリコンバレーと呼ばれている。
成都市は研究者やベンチャー投資家の誘致を目指しており、医療系スタートアップが同市による支援の恩恵を受けるケースも多い。

成都市にはMRI(核磁気共鳴画像診断)システムを開発・販売するオールテック・メディカル・システムズが存在する。同社はゼネラル・エレクトリック(GE)やフィリップス、シーメンスなどの多国籍巨大企業と競合し、MRIシステムを成都市から世界へ販売している。
同社創業者のツォウ・シュエミンはオハイオ州に拠点を置くスタートアップを創業し2002年にGEに売却したのちに、2番目の会社として同社を設立している。

成都市の積極的な誘致活動

成都市は近年、インテルやIBMなどの企業を誘致しており、これらの企業は成都市に研究や製造の基盤を築いている。中国李克強首相は技術革新と起業家精神を呼びかけており、投資活動が最近行われている。中国の景気拡大は現在ついに鈍化しており、中国では成長の新たな原動力を模索している。中国政府は全国の地方自治体に対して、新たなベンチャーが資金調達のチャンスや他のインセンティブを活用できる特別区の設置を促してきた。

最大の対象は依然としてIT系スタートアップであるものの、現在は医療系研究企業もその中に入っており、これまで遅れを取っていた中国の医療研究産業を推し進めている。起業家精神の成長を目標として2014年から展開されてきた中国政府の活動は、何万という小規模企業の誕生を促進してきた。

成都市が見据える未来

成都市の地方自治体は、スタートアップを対象とした7つの基金を設立している。民間資本が支援するこれら基金の総額は約120億円となっており、電気通信やバイオ技術などの産業を目的としている。科学技術局では、デューデリジェンス(技術や特許の価値、事業の内容や財政状況に基づいて企業の価値を評価する)のサポートチームを抱えており、新事業にオフィススペースや研修を提供するインキュベーターの運営も行っている。

成都市のスタートアップの大半が事業から大きな利益をあげるのは何年も先の話だ。医療ベンチャーには必ずそれだけの時間がかかる。たった2,3年で巨万の富を得たFacebookのようにはいかない。成都市の地域経済への大きな貢献をが返ってくるまでの時間は非常に長い。しかし、成都市は医療スタートアップのシリコンバレーとしてその地位を確実なものにしている。