爆買いに代表される訪日観光客の需要はすさまじい。
そして、来る日に向けてインバウンドビジネスは次々と進んでいる。
reluxが5億円の資金調達
会員制宿泊予約サイト『relux』を運営するLoco Partnersに大きな動きが起こっている。
2016年3月にはサービス開始から3周年を迎え、同時にミクシィ元代表取締役の朝倉祐介氏を社外取締役として迎え、2016年4月18日にはKDDIがグローバル・ブレインと運営する『KDDI Open Innovation Fund』を引受先とした5億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにしている。
reluxは、じゃらんや楽天トラベルとは異なり、全国の旅館・ホテルに精通した審査委員会のメンバーが厳選した一流旅館・ホテルを紹介する会員制の宿泊予約サイトとなっている。会員限定の特別プランが用意されるなど、他の宿泊予約サイトとは違った構成になっている。
次々広がるインバウンド市場
そのreluxが今後狙うのはインバウンドの顧客である。インバウンドとは、多くの場合訪日観光客へのサービスや顧客を指すが、今では訪日観光客は1年で2000万人を超え、観光庁のデータによると、その消費額は総額1兆4000億円にも及び、うち33.6%は宿泊費という内訳が出ている。宿泊費は買い物代の32.7%、飲食費の20.5%を上回って最も高い費用であり、4700億円という市場規模があるということになる。
なお、ホテルの市場規模は2兆7300億円とされているから、すでに20%近くは訪日観光客が占めているということが分かる。つまり、インバウンド需要の恩恵を最も受けるのがホテル業界なのかもしれない。reluxでは、訪日旅行売り上げ比率は15%近くまで伸びているという。
インバウンド事業は山場へ
日本の土地に慣れていない訪日観光客にとってホテルをとるのは簡単なことではない。英語が使えれば基本的に話の通じる海外とは違って、基本的に日本語話者がほとんどである日本では外国人の対応を前提としていない場合というのは非常に多い。そういった場合に訪日観光客が頼りにするのはこうしたサイトだろう。会員制を謳っているだけあってreluxはきめ細やかな対応を訪日観光客に向けてもすることが可能だ。この点については顧客単価の割合低いじゃらんや楽天トラベルは手を出すことが難しいかもしれない。
2020年には東京オリンピックがやってくる。しかし、そのときでは遅い。そのときまでに訪日観光客に対して自社のサービスが認知されていなければいけない。reluxにとって最も大事なのは今なのかもしれない。今、訪日観光客にサービスの質を認識されるかが全てだ。