アップルの人工知能開発舞台裏


アップルが力を入れるのが人工知能の開発だ。
Siriが開発され今に至るまではたしてどのような舞台裏があったのか。

アップルが力を入れる人工知能

アップルが人工知能と言うと意外な気がするだろう。人工知能のプレイヤーとして有名なのは、GoogleにIBM、マイクロソフト、Amazonなどだからだ。iPhoneを主戦場にするアップルに人工知能のイメージはあまりない。しかし、アップルはもしかすると世界で最も使われている人工知能を提供している。その名はSiriだ。

Siriは2011年にリリースされたiPhone 4Sで初めて搭載されたものの、その当時は音声認識機能の精度に問題があり、ユーザーから聞こえてくる声は不満ばかりだった。しかし、音声認識をニューラルネットワークを中心としたシステムに変更し、大きく精度が上がった。これが2014年8月のことだ。

Siriを向上させたのはディープラーニング

アップル社のインターネットソフトウェア&サービス上級副社長のエディー・キュー、ソフトウェアエンジニアリング上級副社長のクレイグ・フェデリギ、Siri担当シニアディレクターのアレックス・アチェロらへのインタビューでその舞台裏が明らかになっている。

Siriのエラーを半分ほどまでに減らしたのには機械学習のディープラーニングが大きく貢献しており、ディープラーニングとは人間の脳を模倣した仕組みのニューラルネットワークを採用した機械学習の手法の1つであるわけだがその技術は今や画像や音声認識などの処理には欠かせないものになっている。

アップルが人工知能で有利に立つ理由

アップルのSiriが音声認識のディープラーニングを進める上で有利に働いたのは、iPhoneを製造していることだ。ソフトウェアにハードウェアとどちらも開発しているアップルでは、マイクをどこに搭載するか、どれほどのスペックにするかなどのコミュニケーションをとりながら開発ができたという。

また、アップルはユーザーの打ち込んだデータを保持するなど、人工知能に必要不可欠なデータも保持している。しかし、ユーザーのキーボードに打ち込んだデータはサーバーには送られずデバイス上に保持されているという。
2016年秋に登場するとみられているiOS 10に導入予定の『Differential Privacy(ディファレンシャル・プライバシー)』という技術では、ユーザーの使用パターンのサンプルを集めそこにランダムなデータを加えることで個人を特定することなくデータを解析することが可能になる。

アップルが人工知能の最先端プレイヤーとして知られる日も近いかもしれない。