意外な日本企業がFinTechに乗り上げている。
その企業の名は楽天。あまりテクノロジーのイメージのない楽天ではあるが、今後どのような展望を見せるのか。
楽天が送金サービス『アジモ』に資金を調達
イギリスのオンライン国際送金サービス『アジモ(Azimo)』が、楽天がリードした投資ラウンドで、新たに約16億円の資金を調達したと発表した。
楽天は2015年11月に100億円を超えるFinTechファンドを正式に設立しており、今回が同ファンドから初めての投資となる。
楽天はFinTechファンドで適切な戦略を立て魅力的な投資対効果でビジネスを展開する可能性がある、初期段階から中期段階のスタートアップに対して投資するとしている。eコマースやデジタルコンテンツと同様に楽天は高くFinTechに力を入れている。はたして楽天がFinTechに注目している理由は何なのか。
楽天のFinTechファンドの狙い
今回、楽天のFinTechファンドが投資を行ったアジモのメインとしているサービスが、モバイルアプリを使って海外で働く人が母国へ送金できるオンライン送金サービスである。
オンライン送金サービスはFinTechスタートアップの中でも最も人気の分野であり、スマートフォン端末を利用して銀行や従来の送金事業者よりも格安な手数料を実現しているサービスがほとんどだ。従来の送金サービスでは5~8%ほどの手数料がかかるが、新規参入企業の手数料はおよそ2%となっている。
送金サービスの市場規模は47兆円ほどで、送金が盛んな国が集中しているアジアでは、年間2,500億ドル(約27兆円)以上が送金されているが、そのおよそ75%が銀行や従来の送金事業者を介して行われているものである。
楽天はこれまでもFinTech企業に投資しているが、そのすべてが決済サービスに関連している。
期待される決済サービスとのシナジー
楽天が決済サービスに特化して投資しているのは、既存のサービスとのシナジーを期待しているからかもしれない。楽天は楽天銀行や楽天カードなど楽天市場を中心として金融サービスも行っている。楽天ポイントなどの独自通貨も存在する。投資を行った決済サービスを利用して楽天市場をよりグローバルなものに、国境を越えた経済活動もよりストレスなく行えるようにしている狙いがかい間見える。
こうしたシナジーを狙うことができるのは日本国内では楽天くらいのものだろう(ヤフーに関しては海外進出は米ヤフーの都合もあり行われていない)から、大きな期待が寄せられることは間違いない。海外進出に関しては苦戦が続いている楽天であるがはたして…