スパイバー、IPOへ高まる期待


テックスタートアップで話題のスパイバー。
IPOが期待されるところであるが、はたして。

クモ糸ベンチャースパイバー

スパイバーと言えば、総額47.1億円を調達したスタートアップとして本誌でも紹介しているが、この人口の蜘蛛の糸がついに実用化を迎えるようだ。

スパイバーは、関山和秀氏が代表を務め、同氏が慶應義塾大学在学中の2004年にクモ糸の研究に着手し、2007年に創業したもの。SFC発のベンチャーとして大きな期待を集めており、クモ糸を作る遺伝子を組み込んだ微生物を大量培養することでクモ糸を量産する方法を確立した。

大きな期待を浴びるスパイバー

スパイバーは2013年に新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるベンチャー支援事業に、2014年には内閣府による革新的研究開発推進プログラムに承認されているなど今や国が注目する事業になっている。
2014年に自動車部品メーカーの小島プレス工業と共同出資で会社を設立、2015年にはスポーツウェアメーカーのゴールドウインなどから約100億円の出資を受けるなど、テックスタートアップとして大きな期待が寄せられている。

スパイバーの作った人工クモ糸による新しい繊維は『QMONOS(クモノス)』と呼ばれ、鋼鉄よりも高い引張強度・靱性を持ち、石油由来の合成繊維であるナイロンやポリエステルを大きく上回る性能を持つ。
触り心地や風合いも良く、アミノ酸の組み合わせにより素材を変化させることができることも大きな利点である。アパレル、輸送用機器、医療分野などでの市場化が検討されているところだ。

実用が進むクモ糸

すでにアウトドアウェアのTHE NORTH FACEによるアウタージャケットが2015年に市場化され、さらにはトヨタ自動車のレクサスのコンセプトシートに採用され、パリ・モーターショー2016で発表された。医療分野では手術用の縫合糸、人工血管素材が検討されるなど、世界中から熱い視線が注がれている。

スパイバーは、IPOが噂されており、すでにその助走が始まっているとも言われている。時価総額は250億円前後が妥当だとされているようである。現在の日本においては希少なバイオスタートアップともあって市場の期待も大きいだろう。日本から世界に誇れる技術が発信される日はそう遠くないはずだ。