上場しない巨大ベンチャーが急増した理由とは


ユニコーン企業という言葉に代表されるように上場をしない企業が増えた。
その陰にははたしてどんな理由があるのだろうか。

ユニコーン企業の急増

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2015年に多く聞かれた言葉の1つが”ユニコーン企業”だ。未上場かつ10億ドル以上の企業価値を有するスタートアップ企業について使う言葉であるが、このユニコーン企業は現在120社あると言われており、そのうち6割以上がアメリカに本社を置いている。

では、なぜユニコーン企業が急増したのだろうか?
1つにはスタートアップ企業が急速に成長することが増えたということがあるが、今回の観点はそこではない。もう1つ、それほどの企業価値を有するにもかかわらず上場をしない企業が増えたということである。はたしてそれはなぜか読み解いていこう。

資金調達の手段が増えた

例えば、メタップス米投資ファンドから50億円以上の資金を調達するなど、IPOを行わずとも大きな資金を調達することに成功していた。リンク先のランキングのトップ3に入るラクスルやスマートニュースなども同様でIPOをどうしてもする必要がない。

これはシリコンバレーにおいてはそれ以上に当てはまる。FacebookはIPO時にすでに9.1兆円の企業価値があったし、それ自体は今までのある程度までいったらIPO以外に資金が流れないという常識を打ち破るものである。
上場が資金調達の手段の1つになっている。

非上場企業の社会的信用が上がった

上場の理由の1つとして”社会的信用”を取引先などから得るためにということがある。例えばこれがB2Cの企業であれば消費者は基本的にどこの企業であるかということをそこまで気にすることはないだろう。ところがB2Bの取引については大きな金額が動くことも頻繁にあり、取引をする企業は相手先が十分な資金力を有するか、サービスやプロダクトの納品が確実にできるかといったことを気にする。

それまではその中で上場企業こそが高い評価をされていたが、今では非上場企業でも高い評価を得られるようになっている。そのことで上場をムリしてする必要がなくなったという一面もある。

上場はただの1つの手段にしか過ぎない

例えば、Googleの創業者であるセルゲイブリンとラリーペイジは上場によって経営権が投資家にいってしまう可能性を恐れた。このように、多くのスタートアップ企業は投資家に対してイニシアチブを渡すことをよしとしない。上場というのは一般的にそうした恐れを秘めていることに他ならない。

だからこそ、上場やVCの投資によって中長期の投資ができないなどの事態に陥ることも少なくない。ベンチャーキャピタルによる投資がさかんになった今上場とはただの1つの手段でしかない。