2016年も多くのスタートアップが誕生した。
その中にはなんとすでにかなりの規模にまで成長した企業も。
1.Cheddar
buzzfeed元COOジョン・スタインバーグが立ち上げたビジネスニュースを中心としたメディアが『Cheddar』である。現在のコンテンツはペイウォールを導入したインタビュー動画の短編を無料で配信している。そのChedderの最終地点はニュースを有料で配信することにある。スタインバーグは広告頼みになっているメディア市場を批判しており、有料コンテンツによるメディアの運営を提言している。それを自身で実現する形になりそうだ。
すでに3億円以上を調達しているが、未だサービスは発展途上である。今後コンテンツを充実させながら有料化に舵を取ると思われる。
2.Illumina
DNA配列解析を手がけるテクノロジー企業の『Illumina(イルミナ)』が立ち上げたガンの早期発見を目的とした血液検査を行う新会社が『Grail』である。このGrailでは、循環核酸と呼ばれる血球から外に出て血液中を循環するDNA断片を測定する手法の開発を目指している。
人間のDNAはそのほとんどが血球の中に存在するため、科学者たちはCNAを利用し、ガンやその他の病気を検査することを目論んでいる。あらゆるがんを発見できるスクリーニング検査を開発するのがGrailのミッションである。
3.Otto
『Otto』が取り組んでいるのは自律走行トラックである。Google、Apple、テスラといった巨大IT企業の出身者からなるスタートアップはトラックに自動走行機能をもたせるセンサーとソフトウェアを開発している。非常に興味深いのは、Ottoのツールにより2013年以降に製造されたごく普通のトラックがドライバー不要な自律走行トラックに変わるということ。
自動走行車を開発する必要はない。普通のトラックにツールを使えばトラックはスマートになる。人不足の激しいトラック、特に長距離トラックでは自律走行が可能になることによって多くの問題が解決されるようになるかもしれない。
4.ReCharge
『ReCharge』を使えば、日中にホテルを利用して1時間4000円ほどで仮眠の他、シャワーなどを利用することができる。このスタートアップは従業員わずか4人でできており、ホテルと提携してユーザーがスキマ時間に休息をとれるようになっているという。
Airbnbが空いた住居を利用したのに対して、ReChargeはホテルの空いた日中の時間を利用したサービスである。通常、特にビジネスホテルは夕方~朝までの間は利用があるものの、日中は稼働していない場合も多い。清掃などの作業に費やす時間はあるものの、空いた時間をうまく利用することができれば大きな市場になるだろう。
5.Lola
『Lola』は、旅行代理店としてよりスマートなやりとりで旅行をユーザーに届ける。ユーザーは、チャットを行いながらコンサルタントチームにあらゆる旅行をサポートしてもらえるという。多くの旅行代理店の仕組みが複雑で使い勝手の悪いことからすると、このようにスマートにチャットで全てが進むのは望ましいことである。
『Lola』を立ち上げたのは旅行サイトカヤックの共同創業者ポール・イングリッシュであり、すでに20億円以上を調達している。宿やチケットの手配などやるべきことの多い旅行がスマートに済むようになればその需要は非常に大きいだろう。
2016年発スタートアップの特徴
今回は5つのスタートアップを紹介したが、その特徴としてはGrailやOttoのような最先端技術を開発しながらそれをより普及しやすい形で社会に提供する仕組み、ReChargeやLolaのような現在の生活の中で不便な部分を補うサービスの2種類に大きく分けられると言えるだろう。この流れは数年前から続いており、スタートアップと言えばそのどちらかになる傾向は強そうだ。
現在は、AirbnbやUberの生まれたような巨大な産業の生まれるパラダイムシフト期ではなく、比較的市場自体が狭くその中を補うようなサービスが生まれているように感じられる。もっとも、チャンスがよりあるのは今後テクノロジーの発展する最先端の分野であり、そちらの方がマーケットとして魅力的なのかもしれない。